天為ネット句会報2018年12月

 

天為インターネット句会2018年12月分選句結果

(作者名の後ろの点は互選点)
 ※特選句、入選句内の順番は互選点、句稿番号の順。また互選句は高点句から順に、同点句は句稿番号順に並べました。
 ※一部インターネットで表示できる文字に置き換えております。ご了承ください。

<福永 法弘 同人会会長選 特選句>

白菊や御代の終はりの園遊会        佐々 宙    (4点)

源氏物語に出てくる桐壺帝、朱雀帝、冷泉帝の譲位のようなことが、千年後の平成の今の世にもあるなんて。御代の終わりという表現が巧み。(法弘)

厳粛な気持ちになります。(智子)

仙人掌の棘の長短冬日燦          相沢恵美子   (1点)

単にサボテンの棘とせず、更に進んで棘に長短差を見つけた観察眼が素晴らしい。トリビアルなものに目を向けた写生の力。(法弘)

五重塔木は雪吊をして控ふ         上脇立哉

五重塔と雪吊の庭木の間に主従めいた関係を見出したところが手柄。すなわち「控ふ」の一言の斡旋が全て。(法弘)

<福永 法弘 同人会会長選 入選句>

蕪蒸し京の老舗の吊り手水         垣内孝雄    (4点)

冬の京都の味の一つが蕪蒸し。老舗の有名どころでは何と言っても、つる家。吊り手水の風情も古都ならでは。(法弘)

京の代表的な蕪蒸しと吊り手水との対比が面白い句(豊)

温かい物を頂きながら京都らしい庭の佇まいを眺めている至福の時が伝わります。(明)

裸木の梢ポパイの力瘤           石川由紀子   (3点)

なつかしい舶来マンガ。面白い見立て。(法弘)

みちのくの大根燻す煙りかな        武井悦子    (3点)

いぶりがっこ製造中。(法弘)

寒々とした光景の中に立ち上る煙から暖かみが生まれているように感じられます。(明)

夕暮れて急ぐ札所の返り花         原 道代    (2点)

なんとなく、秩父の札所めぐりという感じ。もう一つ先まで足を延ばす。(法弘)

客待ちの車夫ら語らふ小春かな       阿部 旭    (2点)

観光地にこの頃増えてきた人力車の車夫は、若いバイトのイケメンが多くて、人気だ。客待ちの間の彼らの会話には、明治、大正の頃の苦力的な悲哀はなさそうに思える。(法弘)

長閑で平和な様子、小春の季語が効いていると思います。(孝子)

平成の次の世思ふ炬燵かな         森野美穂    (1点)

どんな元号になるのやら。天災続きだった平成もあと少しで終わる。(法弘)

炬燵が良く利いていると思います (かや和子)

秋晴れや若き夫婦の地鎮祭         片山孝子    (1点)

若い夫婦のこれからを、温かい目で見守っている。(法弘)

憧れのマイホームを持つ若夫婦、季語の秋晴れでその気持ちが感じられます。(光男)

綿虫や救助訓練川に入る          土屋香誉子   

見ていてぶるっと来る寒さ。(法弘)

磯宮の大きな注連や神無月         安光せつ    

立派な注連縄なのにお留守というギャップ。(法弘)

茶の花のかをるや祖母の勝手口       室 明     

田舎に一人で暮らす祖母の姿が浮かぶ。つつましく床しい暮らしぶりが勝手口に薫る茶の花から偲ばれる。(法弘)

<互選句>

水脈ひいて思ひ思ひの鴨のみち       荒木那智子   (6点)

人の道も同じでしょうか、其れで良いと思います(貞郎)

中七の措辞に惹かれました。(博子)

霜の夜の篝火煌と神の森          相沢恵美子   (4点)

神の森とは明治神宮でしょうか、煌の字がとても効いています(律子)

篝火がたかれている神の森。それだけで絵になります。しかもシンとした霜夜。篝火の明るさが映えるでしょう。(志昴女)

あれこれの下手な考へ毛糸編む       佐藤律子    (4点)

何時もの編み物をしながら、結論の出ない出来事に悩み考えて居られる様子が良く出ている思います。(孝子)

考えているうちに編むのに夢中になるともう余計な考えは無くなり編むだけに集中できていつの間にか悩みも飛んでいくのが私ですが(みつ子)

奈良墨の香を立ち上げて賀状書く      かや和子    (4点)

いいですねぇ。墨の香りがする年賀状、私も戴きたいな♪(志昴女)

まらうどに蕎麦打つ木曽の小春かな     浅井貞郎    (4点)

ご馳走というものがあまり無い農家では、客人に蕎麦を打って食べてもらうのが最大のもてなしなのだろう。(豊)

藤村の夜明け前の書き出しが、今は気軽に行けて蕎麦の味を堪能することが出来ますね (昌夫)

黒板に描く未来や冬銀河          内村恭子    (4点)

どんな未来を描いたのでしょう、若者の未来が煌めく星々のようでありますように。(律子)

子供たちの自由な表現が、銀河に続いているようで、壮大な感じを受けました(早・恵美子)

売り急ぐおかめひよつとこ三の酉      石川由紀子   (4点)

三の酉も終りに近づき早く売り捌かなくてはという店の人の様子が良く解ります。(相・恵美子)

三の酉の日、おかめ大小の熊手を我が店でと競う声の中を歩いたこと思い出しました。(道代)

潮騒の中に民宿布団干す          安光せつ    (3点)

海辺の民宿に良くある景ですね、ひっそりとした佇まいが伺えます。きっとお魚が美味しい事でしょうね。(孝子)

段畑の初冬の景に母のあり         今井温子    (3点)

望郷の景でしょうか。(芳生)

旅先で出会った懐かしい風景の中にふと亡き母の姿を思い出されたのでしょうか。(明)

夕暮の六区冬めく縄のれん         垣内孝雄    (3点)

柿を吊る三峰茶屋の大庇          西脇はま子   (3点)

大庇の吊し柿は見事だったと思います。季語と言葉の取り合わせがよく合っています。(相・恵美子)

白のほか知らず漂ひ都鳥          渡部有紀子   (3点)

雪来るか一山笛の鬼無里郷         早川恵美子   (3点)

青春の街角に佇つレノンの忌        鈴木 楓    (3点)

青春の街角という表現が心に響きます(早・恵美子)

ビートルズは青春のシンボル。ニューヨークの街角が目に浮かびます。(宙)

古書街のカレー漂ふ小春かな        武井悦子    (3点)

身の垢は落とさず牡蠣の殻を割る      早川恵美子   (3点)

ム、ム。牡蠣殻には色々な苔や汚れが付いてますが、、、、それを落とさずに身を剥くのか、はたまた我が身の垢を落とさずに年を越そうとするのか。美味しい牡蠣も実は複雑な味。(志昴女)

綿虫のねんごろに舞ふ泉岳寺        内藤芳生    (2点)

長谷川一夫の大石内蔵助に両親が見ほれていたのを思い出しました。(博子)

おほかみの剥製五頭山眠る         西脇はま子   (2点)

精悍なおおかみの剥製五頭とは凄みがあり「山眠る」との取り合わせが面白いと思います。(相・恵美子)

旧姓に戻るといふひと冬の鵙        中村光男    (2点)

「離婚」は人生の大事。「冬の鵙」で寂しさと凛とした意志が感じ取れます。(孝雄)

上五、中七と読み手の想像は膨らみますが、冬の鵙の着地点にめずらしくもないことと解します(律子)

美しき女の嚔も三つまで          中川手鞠    (2点)

蜘蛛網(いかき)なく一糸頼るらむ冬の蜘蛛  松山芳彦    (2点)

へぼ将棋王手飛車取り年詰る        中嶋昌夫    (2点)

「ちょっと待った・・」という声が聞こえてきそうです。(博子)

くるみ胡桃愛の重さが違うもの       森野美穂    (2点)

くれなゐの服の子のゐる冬支度       明隅礼子    (2点)

スパークリングワイン乾杯勤労感謝の日   窪田治美    (1点)

動物園の綿虫に無き名札かな        竹田正明    (1点)

動物園と綿虫の取り合せが面白い (昌夫)

顔見世や平成惜しむまねき上げ       中嶋昌夫    (1点)

今年は切符の手配が遅れて諦めました (かや和子)

セロリの葉きざめば強し異国の香      土屋 尚    (1点)

写経紙に一葉を添ふる紅葉かな       原 豊     (1点)

霧島や湯けむり纏う龍田姫         嶋田夏江    (1点)

留魂の松陰座像冬ぬくし          土田栄一    (1点)

吉田松陰は留魂録を書き残して30才の時処刑された、その生涯は余りにも短かった、しかしその革命の魂は激しく燃え続けこれからも青年達に継承されて行くことでしょう、季語「冬ぬくし」が動かない(貞郎)

紅葉散るこの世の燦を尽くしつつ      鹿目勘六    (1点)

まばゆいばかりの景色が目に浮かびます。(智子)

祝宴に金秋歌ふ声響く           松山芳彦    (1点)

有馬先生の御祝いの会、大盛会おめでとうございます。拙いピアノを弾かせて頂いたので、目に浮かびます(早・恵美子)

裸木や蛹に成り行くものを見る       石川順一    (1点)

羽摶(う)ちて飛び立つ構へ檻の鷲     高橋紀美子   (1点)

今年は柿の当たり年ですね。近所でも吊し柿が多く見られました。「三峰」が景を深く、広くしています。(孝雄)

出雲へと風の馬車乗る厨神         原 豊     (1点)

よろづ屋の奥よりかすかおでんの香     土屋香誉子   

イケメンですよね!改めてみると何かしっかりやっているとイケメンになってくるのかな(みつ子)

キリストも釈迦も美男子十二月       小髙久丹子   (1点)

浮御堂金波銀波に鴨の陣          土田栄一    (1点)

山茶花や吉備回廊を渡りゆく        妹尾茂喜    (1点)

禅寺のけんちん汁や小六月         竹田正明    (1点)

鎌倉の建長寺でしょうか。季語の小六月がいいですね。(光男)

高層ビルのガラス百枚木の葉散る      荒木那智子   (1点)

袴着の子の手を確と父と祖母        高橋紀美子   (1点)

御陵の大正・昭和松手入れ         荒川勢津子   (1点)

大戦がありました。大正・昭和を了え平成も新しい元号を迎えようとしています。「松手入れ」で真摯に時の流れを受け入れようといている姿勢があります。(孝雄)

涅槃図の絵解きする僧小鳥来る       永井玲子    (1点)

小鳥来るの季語が良く効いています。(宙)

南洲の敬天愛人春を待つ          鹿目勘六    (1点)

拍子木を打ちゆく人や霜の夜        佐々 宙    (1点)

拍子木の音がだんだん遠ざかっていく様子が季語「霜の夜」によって良く伝わってきます、(貞郎)

寒茜ヒロシマの詩を詠む女優        妹尾茂喜    (1点)

広島、長崎は人類が共有しなければならない最大の悲劇です、吉永小百合さんには心から敬意を表します (昌夫)

ルドンより香るフランス秋澄みて      小髙久丹子   (1点)

通りゃんせ海で終ふ道島の秋        岡崎志昴女   (1点)

「島の秋」が効いていると思います。(光男)

以上

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