天為ネット句会吟行第8回@3月 句会報

ネット句会吟行 第8回@3月

     ボタン 3月29日(日)開催予定でしたが新型コロナウィルスのためネット上の吟行会となりました。  佐藤博子 文責

日原傳先生をお迎えして☆

参加者 :室 明、内村恭子・岡崎志昴女・鈴木楓・武井悦子・野口日記・染葉三枝子・榑林匠子
     松山芳彦・高橋紀美子・永井玲子・原 道代・中村光男・相沢恵美子
スタッフ:佐藤律子・佐藤博子    (順不同)
句会  :投句・・7句 選句・・6句


そめいよしの
 ネット句会吟行第8回は皇居東御苑の予定でしたが、新型コロナウィルスの状況に催行を逡巡していたところ、日原傳先生より「各自身近なところを吟行して7句投句のネット句会は如何ですか。」との代替案を頂きました。
 一人七句の投句・合計119句の属目句(目で見た物を即吟する)が集まり、賑やかなネット句会となりました。短い設定期間の中での投句・選句でしたがスタッフにとっても良い経験となりました。ご提案下さった日原先生はじめ皆様に感謝いたします。

 現時点でコロナウィルスの先が見えない状況ですが、一日も早い終息を願うばかりです。皆様お気をつけてお過ごし下さい。                       (佐藤博子 記)

 

 

        日原 傳 作品

    菜の花や山羊見にこよと誘はれ
    長靴の色うすみどり春の雪
    桜狩雲のあはひに星生まれ
    雪つもる幹に噴きたる桜にも
    竣工の年刻みあり桜草
    初花や鴉の嘴がありありと
    花びらがまなじり打つてゆきにけり

 

そめいよしの

 

 
  
 参加者五句(順不同)

室 明
  光風や御苑の林うすみどり
  永き日の大内山の御空かな
  海棠の花に埋もれて虻の昼
  暮春光御苑の池の銀の鯉
  青石やシャガ石楠花と咲き競ふ

永井 玲子
   汲みまがふ寺井の隅に初蕨
   子地蔵のまあるき膝や蝶生まる
   春一番本丸跡は真つ四角
   ふらここは一人漕ぐもの帰るもの
   保育士の大きエプロン春夕日

 
 

内村 恭子
   石ひとつせせらぎを生み水草生ふ
   白梅の形よき庭人もまた
   花人の皆んな覗いてゆく古墳
   木橋渡ればくるぶしに春の草
   不動尊といへど幼形辛夷咲く

野口日記
   貼り紙に「飲食禁止」桜満つ
   自撮りする学生服や花吹雪
   亀鳴くや母の返事の的外れ
   春の風水面に光落としつつ
   たんぽぽや内緒話を立ち聞きて 

 
 

鈴木 楓
  菊坂の路地に春風日和下駄
  芽柳の銀座並木に青ポスト
  花菜風新潮文庫紐栞
  花の雨濡らす老幹屋敷神
  三椏の盛りことりと水車鳴る

松山 芳彦
   爽爽と椈の原生風光る
   ピカピカの子供自転車雪柳
   出格子の道に三日月春の宵
  兎似(うじ)の雲二つ並ぶる春の空
  葉の裏に咲く椿の余所余所し

 
 

岡崎 志昴女
  花あればそちらへ曲がり退職す  
  太陽の絵タイル歩道水温む
  花万朶弁財天の池発す
   絵タイルの白鳥帰り池広し
  桜まじすれ違ふ人皆無言

高橋紀美子
  初桜まだ濡れ色の子牛鳴く
  下萌の弾薬庫あと鬼ごつこく
  眩し気に星桜咲くうす桃にく
  明日引かんキンクロハジロ群れしずか
  さくら咲き園いっぱいに子ら走る

 
 

武井 悦子
  瓦には宝相華文風光る
  茶碗には仏の一字利休の忌
  真間山に桜隠しや仁王門
  涅槃西風坂の上なり国分寺
  のどかさや亀の三匹手児奈堂

中村 光男
  佇めば囁きに似て春の水
  細長き谷戸の田んぼや日脚伸ぶ
  鼻歌の男過ぎけり桃の花
  春の風背中に白きチェロケース
  きっぱりと意思表明す四十雀

 
 

染葉 三枝子
  少女吹く木のオカリナに春の風
  山城の夕日に向かひ山桜
  戦国の武士の吐息か著莪の花
  陽炎やテントに犬猫譲る会
  佐保姫をさそふ駅前大道芸

原 道代
  木偶の口への字に曲がり涅槃西風
  傘さして見送る雨の雛流し
  島フェリーの汽笛近づく春霞
  鶏鳴くや春昼島にこだまして
  灯台の窓のまばゆし雪柳 

 
 

榑林 匠子
  やまざくら左へ暗き下城道
  春落葉千年積みし貝の殻
  井の国にある興亡や山桜
  竹の秋土器片混じる貝の塚
  引鴨や佐鳴湖に羽休めをり

相沢 恵美子
  小祠に猫の水置く春の昼
  魚一尾焦がしてよりの夕朧
  おかめ桜満開にして花細か
  花辛夷蝶の飛び立つさまに咲き
  冴返る係留船の音ギギと

 
 

佐藤 律子
  百年の水車回りて彼岸入り
  林道の登り緩やか花辛夷
  山葵田の風に海芋の咲きそろふ
  漫ろ咲く桜並木の兜町
  金銀の鯉のたゆたふ御苑春

佐藤博子
  空近く大の字になる春の芝
  人丈の石組む城や鼓草
  陽炎や百人番所に伊賀甲賀
  白樫の宙を自在に鳥の恋
  雑木林芽吹く皇居に深呼吸

 
                  以上
 
                   菜の花

 



ホームへもどる 句会報へもどる