天為ネット句会報2021年12月

 

天為インターネット句会2021年12月分選句結果

※特選句、入選句内の順番は互選点(選句者名を記載しています)、句稿番号の順。
 互選句は句稿番号順に並べております。
※一部インターネットで表示できる文字に置き換えております。ご了承ください。

<福永法弘同人会会長選 特選句>

寂聴さん身罷る山茶花日和かな            西脇 はま子

若き日々は奔放に、齢を重ねて穏やかになり、老いて出家、そして上手な死。山茶花日和の季語がぴったりだ。寂聴さん訳の『源氏物語』をたまたま読了したばかりで、女人成仏の物語だなと思いつつ読んでいたので、99歳の天寿には納得感がある。(法弘)

散華のように降りしきる山茶花。尊敬と親しみを表現された追悼句が心に沁みました。(博子)

玲奈・夏江

小春日やもらひし犬のなつき初む           土屋 香誉子

今日は小春日、犬を散歩に連れ出す。貰ってきた犬がこの頃やっと、なついてくるようになった。嬉しい。(法弘)

<福永法弘同人会会長選 入選句>

太陽の余命は問はず日向ぼこ             芥 ゆかり

太陽の残り寿命は50億年ほどらしい。あと50億年後には、太陽は大爆発を起こして無くなってしまうのだそうだ。がまあ、そんな先のことはどうでもよい。今の陽だまりが大切。(法弘)

壮大なる日向ぼこですね。(春野)

人の余命はいくばくもなく、余命数十億年の太陽からたっぷり熱をもらっても誰も文句は言わない。(茂喜)

自分の余命は時に頭をよぎるが日向ぼこのエネルギー源の余命は?(眞五)

安泰の中でふと考えさせられますね。(伊葉)

日向ぼこをしながら宇宙の悠久の時間に思いを馳せる。とは言え、人間の自然な生理の故、ついうとうとしてしまう。気宇壮大さと滑稽味の配合が絶妙。(博行)

私も太陽もいつまでの命だなんて考えない。今はただ日向ぼっこ。いいですね(百り子)

太陽の余命というスケールの大きな事柄と日向ぼこという日常の生活との取り合わせに惹かれました。(美穂)

太陽のありがたさつくづく感じつつ読みました。(佳久子)

太陽は約46億年を経過しているらしく、その年数で存在できる半分とか。人間の寿命から計れる余命でないのは確か、まだまだ安心して日向ぼこできます(律子)

景が大きいです。凄い!(早・恵美子)

匠子・正治・恭子・万記子

そぞろ寒ニュースの古くなる早さ           森野 美穂

ニュースはアルファベットで、NEWS。この語源は、North、East、West、Sauthの頭文字を並べたもので、情報が東西南北からもたらされることに由来するのだという説がある。そのニュースも、情報伝達があまりに早い現代では、次々と新情報が届き、すぐに陳腐化する。情報に翻弄される寒々しい世の中だ。(法弘)

連日のように驚くような事件が起きている昨今、2,3日前のニュースでも古くなる。この句に実感します。(相・恵美子)

智子・那智子・久丹子

寒木瓜のことば呟くやうに咲き            相沢 恵美子

30年ほど前に家を建てたとき、庭に木瓜の木を植えた。それが今でも冬になると、赤い花をぽつぽつと咲かす。けっして饒舌ではないが、ぼそりと吐き出す一言が箴言であるかのような花だ。(法弘)

「ことば呟くやうに」は上手い表現だと思いました(眞登美)

「ことば呟くやうに咲く」がとても詩的で、寒木瓜のもう一つの美しさを内蔵しているようだ。(桂一)

寒中に咲く木瓜の花は、まさにひとり「呟く」ようです。(てつお)

木瓜の花から、言葉を覚え始めた幼児の唇の愛らしさが見えてきました。(明)

極月の老舗ホテルのナポリタン            鈴木 楓

ナポリタンは横浜ニューグランドホテル発祥だそうだ。何年か前の天為同人総会でその老舗ホテル辺りを吟行し、そうした俳句がいくつか出ていたのを思い出した。ナポリではナポリタンというパスタ料理はなく、なんとなく似ているのがプッタネスカだが、味わいはかなり違う。(法弘)

老舗ホテルには看板メニューが付き物。極月にも敢えて食べたくなる「ナポリタン」、さぞかし美味なナポリタン。(孝雄)

老舗のホテルで豪華な料理ではなく素朴なナポリタン、取り合わせが効いています。(相・恵美子)

「昭和のナポリタン」もう一度食べたくなりました。(憲史)

正治

不意に来る子に湯豆腐と卵焼き            西脇 はま子

子が連絡もせずにやってきたのは、親に余計な気を遣わせないようにとの配慮だろう。親の方はそうは思ってもすぐに、あり合うもので子を持てなす。気持ちの通じ合った親子関係。(法弘)

寒い日はさっと作れて湯豆腐いいですね(みつ子)

突然来た子供、嬉しくて何を食べさせてやろうかと慌てる様子が最後の卵焼きに出ていると思います。(孝子)

幾つになっても子の好物は覚えていますね。(憲史)

AI に潜む悪意やそぞろ寒               内村 恭子

決められたプログラム通りに動くのがロボットであるのに対して、AIが目指すのは、人と同じように実行し、学習し、考え、それを次の対応に生かすことだ。さらに進んでAIに善悪の判断ができ、悪意を為すことができるようになった時、人とAIとの戦いの火ぶたが切られるのではないだろうか。寒々とする。(法弘)

AIに悪意が潜むとは、そぞろ寒どころではなく凍りそうです。(玲子)

香誉子

遠き富士見ゆる朝なり麦を蒔く            明隅 礼子

冬になると空気が澄んで遠くまで見通せるようになる。富士山が見える朝が来たということは、初冬、すなわち、麦蒔きの時期が到来したということだ。季節の巡行に従った暮らしぶり。(法弘)

麦蒔く人の影が田に動く。町並みと山々の彼方に富士が見える。富士もその景を見渡しているだろう。(茂喜)

三枝子

雷鳥を食べてオスロの薬喰              熊谷 佳久子

日本の雷鳥は天然記念物なので食べられないが、私は京都のレストランで、スコットランド産の雷鳥を食べたことがある。針葉樹の香りとほろにがさが特徴だと聞いていたが、そういわれればそんな感じがしないでもなかった。その雷鳥をオスロで薬喰。(法弘)

お味はいかがでしたでしょう?私も食べてみたいです。(春野)

万記子

ドローン五十機ハート描きて神無月          佐藤 博子

ドローンはオスプレイの超小型版だそうだ。世の中に出てきた時期もほぼ一緒。ドローンの50機編隊でハート模様を描くのは見ものだろう。神の領域を少しずつ人が犯しつつあるような気がするのは、季語の神無月が効果的である証拠。(法弘)

多数のドローンを空中に飛ばして絵を描く先端技術は素晴らしい.ドローンは平和にのみ利用されますよう(勢津子)

ホットワイン市の華やぐ旧市街            武井 典子

市とはクリスマスマーケットのことだろう。城壁に囲まれたヨーロッパの旧市街の冷え冷えした夜にはホットワインが有難い。(法弘)

かつて任地の外つ国で冷え込むと卵酒を飲む感覚で飲みました(眞五)

<互 選 句>

句帳に陽冬の蜻蛉を止まらせて            染葉 三枝子

礼子・香誉子

霜の夜や十進記数の置時計              河野 伊葉

史子

庭隅の土を均すも年用意               竹田 正明

土均すという作業は一見細かなことかも日常の作務と天体系を組み合わせたのはすばらしい脱却。(伊葉)

恭子

枯葉舞ふ中に詩人のため息も             中川 手鞠

枯葉と詩人のため息絵になる構図(豊)

ベルレーヌの深いため息が聞えそうです。(はま子)

ヴェルレーヌのため息を聞くようです。(典子)

由紀子・匠子・那智子・智子・澄江・礼子

一枚の枯葉見詰むる初老かな             松山 芳彦

一枚の枯葉から、もしかして一人暮らしかな等と想像します。(孝子)

畦道にモアイのやうな案山子立つ           内藤 芳生

異国情緒が俳味を引き出して居ると思いました。実用的な目的だけではなくて、見られて居ると言う公共意識がモアイ案山子を作らせたのでしょう。(順一)

小春日や形見の帯を繕って              今井 温子

悦子・旭

寅さんのビデオは蜜柑食べながら           上脇 立哉

炬燵に入って蜜柑をたべながら、テレビで寅さんを見ているのでしょう。昔のことですが、映画館で蜜柑を食べながら映画を見たことがありました。(はま子)

寅さんと蜜柑はピッタリですね。炬燵もかな・・・トテモ暖かい様子が出て作者の笑顔までも出ていると思います。(孝子)

「狩場焼」の猪肉囲む村おこし            原 道代

博嗣

ひとつぶの雨に解かれし鴨の陣            明隅 礼子

周りの動きに敏感な鴨の習性をよく捉えている。(桂一)

何となく情景が浮かびます(眞五)

一を聞いて十を知ると論語にありますが、一粒の雨から始まる本降りとなる雨を察知する鴨は論語を心得ているようです。(はま子)

光景が見えて美しい。(芳彦)

群れていた鴨たちが離れていく様をひとつぶの雨からと詠まれているのが美しいと思いました(律子)

紀美子・春野

窯変の天目茶碗冬北斗                石川 由紀子

曜変天目は黒釉茶碗の中でも「器の中に宇宙が見える」と云われる世界に3つだけの宝。挙句、冬北斗がバランスし佳い。(武夫)

高尾山法螺貝に散る紅葉かな             土屋 尚

鍛錬会で高尾山に行った時のことなどをおもいださせてくれた1句。(飛)

「いい人」はもうこの辺で冬紅葉           てつお

久丹子

枯露柿の粉は太陽の子なるべし            内藤 芳生

白い粉吹き柿を見て太陽の子と言い切った所に俳句あり(豊)

石段を登る晴着よ七五三               長濱 武夫

玲奈

みちのくに龍ひそむ湖山眠る             武井 悦子

湖の淵深く眠る龍が春を待つ、みちのくの神秘。(ユリ子)

一陽来復山寺に鐘鳴り初め              妹尾 茂喜

一陽来復とは冬至のことで、この日から太陽は春に向かって行くと言われている、山寺の鐘もそれに合わせて鳴り始めた(貞郎)

オショロコマ蔵せし湖や山眠る            熊谷 佳久子

いよいよ冬、水底に鋭い歯の魚を隠している深い湖。あ~神秘な山の様子です。(志昴女)

オショロコマは世界で然別湖にしか生息していないらしい。それだけに山眠るが効いています。(相・恵美子)

寒冷の地の湖が豊かに静かに眠っている風景が見えます。(百り子)

チェシュ猫の笑ひ残して冬の月            榑林 匠子

長い冬の月夜にはアリスのようにチェシャ猫に会うこともあるかもしれません。(典子)

チェシャ猫の笑いとは訳も無くニヤニヤ笑うことらしく、それがちょうど二日月ぐらいの形らしい。そんな冬の月を想像しニヤニヤしました(律子)

由紀子

看板に鮟鱇専門てふ歯科医              青柳 飛

匠子

割烹着離さず勤労感謝の日              荒川 勢津子

真白な割烹着。働き者の昭和の母です(智子)

まさに勤労感謝の日を詠っていますね。(ユリ子)

ひとりゐの冬うららなり只管打座           齋藤 みつ子

山寺の冴ゆる鐘の音厨まで              土屋 香誉子

冴ゆる鐘の音が佳いですね。厨まで聞こえてくる―。(ユリ子)

澄江

さかのぼる集合写真日向ぼこ             森野 美穂

「さかのぼる」に「日向ぼこ」が効いていますね。(憲史)

ひととせの一朝のごと柊咲く             荒川 勢津子

時節の巡りは早いものです。(てつお)

ダム底の分教場や水涸るる              井上 澄江

冬の季語(水涸るる)を生かした見事な一句(貞郎)

南天の実の垂るる見て入院す             上脇 立哉

光の玉のような南天の実に力をもらわれたことでしょう。(てつお)

周辺に植わっていて毎日のように観ていた南天の実に思いを託されたのでしょうか。支柱になってくれるといいですね。(伊葉)

道代

角打ちの大きな背中冬の雷              金子 正治

今は少なくなった角打の姿がとても良く捉えられている。(桂一)

角打ちで無言の大きな背中の語るもの。冬の雷がうまいと思いました。(ゆかり)


落葉踏む音が道づれ谷戸の夕             岡部 博行

日暮れの早い谷戸。落葉を踏む音だけが響く景が見えます(智子)

夏江・正明

目で語る術上手くなり冬に入る            泰山木

上5中7がよくできていると思います。(博嗣)

恭子・正治・尚

襤褸市にロココ調てふ砂糖壺             内村 恭子

博嗣

冬三つ星まづシリウスのハークション         青柳 飛

冬の大三角の中で一番強く不思議な光を放つ一等星がシリウスです、日本や中国では天狼と呼ばれ親しまれています、季語が素晴らしい(貞郎)

凍星の座を決む神の六分儀              髙橋 紀美子

星座の配置には人智を越えたものの存在を感じる。清冽な冬の星空を見るとその思いが一層強くなる。「神の六分儀」の比喩表現の的確さに感銘。(博行)

小春日や砂場に残る三輪車              岡部 博行

小春日の感じですね、誰と来たのかなと想像が膨らみます(夏江)

興味の関心がゲームとか別の物に移行したのでしょう。三輪車はプリキュアだとかポケモンだとかのキャラものだったのではないかと推察します。(順一)

田仕舞の煙一すぢ三すぢかな             榑林 匠子

広々とした田園風景が浮かびます(勢津子)

日本の穏やかな景色。いつまた行けるのかな。。。(飛)

眞登美

朝取のレタスが落とす露の玉             原 豊

みずみずしいレタスが目の前にあるような景と朝の澄んだ空気が伝わって来ます。(道代)

紀美子

長次郎茶碗と利休冬の雷               荒木 那智子

茶聖と言われ厳しき生涯の利休と冬の雷の表現 唐物重視よりわびさびの心でのもてなしの長次郎の黒楽茶碗。茶道史の見開きのような重々しい句と拝見いたしました。 (温子)

狐火や月の喰はれし真の闇              早川 恵美子

往時の人々は、皆既月食の夜の狐火をどんなに畏怖したことでしょうとの想像力が素晴らしいと思います。(明)

正明・礼子

十数へ肩まで浸る冬至風呂              合田 智子

まさしく幼かった頃の父との「肩まで浸る」入浴を懐かしむ。(孝雄)

私は30数えます。寒い日は寝る前のお風呂が何よりです(みつ子)

猿泣かせてふ渋柿や隠れ里              井上 澄江

ミキモトの聖樹の傍に待ち合はす           垣内 孝雄

ミキモトという固有名詞があることで、真珠やダイヤの煌めきが見え、そこに待ち合わせる作者の歓びが感じられる。(武夫)

聖樹と響き合っています。お幸せに!(早・恵美子)

冬銀河厩舎に満つる馬の息              相沢 恵美子

天上の銀河の冷え冷えとした静寂と地上の馬の息の温もりのある律動の対比が鮮やか(博行)

馬の白い息が見えるようです(智子)

玲奈・道代

乾鮭をいぶす火も木もカムイなり           中田 秀平

冬ごもりのための炉端の様子です。鮭も木も火も、神。自然の恵みに生かされている感謝をしながら。いい姿ですね。(志昴女)

森羅万象に神が宿るアイヌの人々の生活が具体的な行為で表現されていて説得力を感じました。(ゆかり)

乾鮭を炙りながら、神は身近なところに、火にも木にもいると思っているのがいいと思いました。(典子)

中七からアイヌの人々の清らかなカムイへの信仰の深さを感じます。(明)

万物に神を感じる日本で暮らす人々の文化を思います。悲しい歴史を暗喩した「カムイ伝」も・・・。(博子)

楓・由紀子・旭・三枝子・澄江

手のひらに地球の色の毛糸玉             芥 ゆかり

手にのせた毛糸玉、その色を青い地球のような色と見る感性がやさしく、研ぎ澄まされている。(茂喜)

地球の色ってどんな色なのだろうか考えるだけで楽しそう(みつ子)

地球の色が良い。青ってことか?(飛)

万記子・悦子

地下都市の出口に迷ふ十二月             中村 光男

大都会の地下は、出口を間違えると人生がすっかり替わるほどです。12月がよく合っています。(玲子)

久々の新宿駅は工事中で地下鉄の乗降に迷いました。御句そのものでした(勢津子)

地下都市ではいつも迷子になるけれど、12月は特に、人も多く殺気立っていてまるで迷宮のよう。(手鞠)

紀美子

ノルマ達成襟巻の尾が跳ねる             早川 恵美子

毛皮の襟巻でノルマ達成をぴょんぴょん喜んでいる光景。コミカルでいて何のノルマだったのかすごく気になる句。(ゆかり)

万葉時代からある「寄物陳思」の句だが、作者の歓びを襟巻の尾の跳ねという物に寄せて詠み成功した既視感のない句。(武夫)

山茶花の路地の空耳けんけんぱ            てつお

けんけんぱ、の空耳・・かつての思い出を辿るようでもあり、山茶花の雰囲気としっくり合っているように感じました。(美穂)

セピア色の昭和の思い出。胸キュン。 (手鞠)

久丹子

針箱へ指貫しまふ一葉忌               小栗 百り子

小春日なんかでも、私も明治の女性の針仕事を思います。あの頃はもっと女性は針を持ったろうな。生活に疲れた一葉女史、哀しいけどその中に楽しみもあったはずですね。(志昴女)

樋口一葉の生涯に思いを馳せてみたい・・そんな気持ちを持たせていただけたように思いました。(美穂)

史子・智子・那智子・尚 ・眞登美

住む人の絶へて久しや枇杷の花            合田 憲史

長く空家になった庭に咲く枇杷の花、自然の営みと人の営みとが寂しく交叉する。(孝雄)

住む人の絶えて久しい家が最近は多く見られます。そこで咲いている花、実って収穫しない果物を見ると核家族のためか、何か哀愁を覚えます。(芳彦)

枇杷の花とひっそりとした家のたたずまいに時の流れを感じている作者気持ちが見えます。(百り子)

年用意ふつふつたぎる大薬缶             垣内 孝雄

師走の忙しなさが ”たぎる”に良く表れていると思います。(手鞠)

向田邦子の世界を見ているようです(早・恵美子)

高きより落葉松散れり尼入寂             中田 秀平

兄の出版記念会に来て下さった寂聴さんを思い出しました。(佳久子)

朗人忌の奥山冬の紅葉かな              小栗 百り子

三枝子・悦子

縄文の竪穴の闇銀杏散る               阿部 旭

温子

山眠る久弥の愛でし白き山              合田 憲史

日本百名山のどの山でしょうか?雪をかぶって白々と目の前に。(佳久子)

心字池雲の影行く漱石忌               浅井 貞郎

漱石の忌日に島崎藤村の妻だった冬子を思い出します。「雲」からは啄木の19歳の頃の詩集すら思い出しますが、心字池の水が鏡の役割をして居る所に惹かれました。(順一)

綿虫や事故の調書に拇印押す             今井 温子

私もこんな経験をしました。通行止めの時間帯に入ってしまい、パトカーに追われ?罰金払いました。綿虫が良いです。(玲子)

朗人の忌の賢治と越ゆる冬銀河            牧野 桂一

先生 銀河鉄道の旅は如何でございすか 近い将来私もその片隅に同乗させて頂きましたら幸せに存じます (温子)

朗人先生の想い出は何時までたっても忘れることが出来ない。(芳彦)

透徹した夜空に、銀河鉄道の乗り込む先生の笑顔が見えてくるようです。(博子)

青鷹磐梯山の輝けり                 長濱 武夫

咲き競ふ皇帝ダリア町師走              嶋田 夏江

11月から12月かけて大輪の紫の花今盛り(豊)

仏足石の窪みを洗ふ小夜時雨             髙橋 紀美子

史子・正明・香誉子

以上

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