フランス通信

 

* ( L’ AUTOMNE )

10月10日、日本は「体育の日」でお休み、しかも連休とか。秋晴れの空の下、色々なイヴェントが催されていることと想像します。きのここちらも先日ヴェルサイユ近くサン・カンタンで行われた幼稚園の“秋の大運動会”は、雲一つない稀な晴天に恵まれ、気温も30℃にまでなったでしょうか。

しかし翌日は曇天、風向きも変わって寒い位、10月に入ってからは朝晩は9℃、日中は16℃位、そんな秋の天気が続いています。木々の葉は日に日に黄葉して、マロニエなどはマロンの実をコロコロと落とし、大きな葉も茶色く落葉となって散っています。

フランス各地に続いてモンマルトルの丘にあるあの小さなブドウ畑のブドウの取入れも済んで、愈々秋の感じです。店先には何種類ものリンゴ、梨、ブドウや茸、栗や胡桃が豊富に並んでいます。

ジュラ、アルプス、ピレネ―など山岳地帯1200m以上に降雪の報、夜ともなれば石造りの建物は冷え冷えとして暖房が入る迄の我慢、下の階に住む97才になる作家のムッシューも寒さ凌ぎにボルドーを飲んで頑張っています。

*「敏感・繊細なアンリ・ファンタン・ラトゥール」展( Expo. « Henri FANTIN-LATOUR,à fleur de peau »)

山岳地方グルノーブルに生まれたアンリ・ファンタン・ラトゥール(1826-1904)は、粗っぽい山育ちのままに、気難しく個人主義でしたが、自分なりに真実を追い詰め、広げ、印象派画家達との交友がありながらも印象派にはならず、しかし巨匠達の影響は受けてその技巧を真似、肖像画や静物画に腕を上げました。

何人かの場面に、皆とは異なった衣装で、違った方向を見つめる自分の姿を描いたものは、彼の複雑な内面をよく捉えており、一方では生活の為に綺麗な花の絵を描き続け、それが英国人たちの称賛を浴び、当時最もエレガントな画家と人気を拍すなど、、非常に興味深い、しかし気のおけない作品の数々を展示する稀な回顧展です。2017年2月12日迄、リュクサンブール美術館 (Musée du Luxembourg, 19,Rue de Vaugirard,Paris 6e : RER B線Luxembourg駅、又はメトロSaint Sulpice駅下車)、毎日10時-19時、入場料12€ リュクサンブール公園の秋もなかなかに趣があり好いものです。

*「光に満ちたハーブ・リッツ」写真展( Expo. « HERB RITTS en pleine lumière ») 

スターを撮っては20世紀末で最も偉大な写真家の一人と云えるハーブ・リッツ(1952‐2002)はデヴィット・ボウイ、マイケル・ジャクソン、ミック・ジヤガー、そしてジャック・ニコルソンやニコル・キドマン、等々のスター達を、1980/1990年代にモノクロで撮り続け、スター達の近くに寧ろ友人として存在しました。

1978年、まだ駆け出しのカメラマンであった頃、カリフォルニアの荒野へ出掛けた時に車が故障、やっとのことで車を運び入れたガレージで修理を待つ間、そこに居たTシャツ、ジーンズ姿で煙草を咥えた若者を暇つぶしに撮ったクリシェが後日“ヴォーグ”誌に掲載され、チャンスとは愉快なもの、モデルとなったその若者リチャード・ギアーも自分も有名になりました。

それからは映画スター、トップ・モデル、ミュージシャン達との知己が広がり、撮り続けたクリシェは莫大なものとなって価値を呼びました。今回展示された写真はどれもスターにより近く、明るい光に満ちた優れた作品ばかりです。

10月30日迄、MEP (la Maison européenne de la photographie, 5-7,Rue de Fourcy, Paris 4e : メトロSaint Paul又はPont Marie下車) 月曜日を除く毎日11時-20時、入場料8€ です。www.mep-fr.org

*ヨット・レース「ヴァンデェ・グローブ」 ( « LE VANDEE GLOBE » ) 

1989年に始まった単独・無寄港の世界一周ヨット・レースで、第2回の1992年(ゴールは1993年)以降4年ごとに行われます。

今年は第8回、11月6日にフランスのヴァンデェ地方のサーブル・ドロンヌ港を出発、北大西洋を南下、南大西洋からアフリカの最南端“喜望峰”を回り、印度洋からオーストラリアの南を通って、南太平洋から南米の最南端“ホーン岬”を回って南大西洋へ出て北上、北大西洋から出発港のサーブル・ドロンヌへ帰るコースを、早さも争い80日間で一周することをメドに、途中で食糧補給も出来ず、故障の場合も自分で修理、強風と荒波に睡眠もままならず、1人で大型艇を操る過酷なレースだけに、毎回完走率は半数程度だそうです。

今回このレースに参加するのは29名、その一人に海洋冒険家の白石康次郎さん(49才)が日本人として、アジア人として初めて出場する予定とのことで、大いに期待し、健闘と完走を祈りたいと思います。

*モンマルトルで美味しいおやつ( UN BON GOUTER A MONTMARTRE )

モンマルトルの丘の麓、賑やかな一角に美味しいビスケットやクッキーをオーヴンで焼いて、良い香りを漂わせている所があります。

お菓子のシェフであるジル・マルシャルさんは昔ながらの伝統的な手法で焼き菓子を作り続けているのですが、ウイークエンドの金曜日~日曜日15時30分から18時30分迄、ビスケットだけでなくアーモンドの香りでバターたっぷりのフィナンシエ、これもバターたっぷりのブルターニュのクッキー、香ばしい瓦煎餅、マカロン等々(les biscuits,les inanciers,les palets bretons,les tuiles croustillantes,les macarons・・)お勧めの品からお好みのものをいくつか選んで、コーヒー、紅茶、ココアなどで賞味する“おやつ”を提案、メニューは14€、18€、20€の三種があります。お持ち帰りも勿論出来ます。

Compagnie générale de biscuiterie, 1, Rue Constance, Paris 18e , メトロPlace Blanche 下車

*モンパルナス・タワーがピンクの装い(LA TOUR MONTPARNASSE S’HABILLE DE ROSE)

56階建て、何処からも見える様な高いビル“モンパルナス・タワー”に大きなピンクのリボンが付けられ、夜間はピンクにライトアップされています。

これは“乳癌”(le cancer du sein)に対する予防、検査、治療、研究、等々に対する注意、関心と理解・協力などを呼び掛けるもので、そのシンボルとしてのリボンは関連行事催行の10月一杯タワーに付け続けられます。

ホームへもどる パリ通信目次へ戻る
2016年10月10日 Saint Ghislain :日の出08時03分・日の入19時10分       パリ朝夕6℃/日中15℃晴天、ニース14/21℃曇天、ストラスブール3/13℃曇天
      「 マロニエのマロンを栗と間違えて 」(安芸寛) 皆様どうぞお元気で 

2016 Copyright© 菅 佳夫 All rights reserved.