フランス通信

 

*連翹 ( LE FORSYTHIA ):「春は黄色の花で始まる」と云いますが、南仏からはミモザの花便り、パリとその近郊では連翹が咲いて春が近いことを知るのが常です。ところが、早ければ1月末にも咲くはずの連翹の花が、今年は2月になっても咲かず、3月になりましたが、アパートや電車の窓から周囲を見渡しても、景色の中にその黄色は無く、住宅街を歩いてみても、庭先や垣根から覗いている連翹の花の姿がありません。 連翹</p

そういえば、昨年の暮れから1月中旬頃まで、毎日氷点下の天気が続いて、木々が樹氷を付けて白く凍っていましたから、その頃に出る芽や蕾が凍って駄目になってしまったのかも知れない、と少々淋しい気がしていました。ところが一昨日のこと、まだ寒さが残る広いモンスリー公園を歩いて春を探してみましたら、塀に沿った植込みの隅の方に連翹が二、三本、力なく咲いているのを見つけ、それでも何かホッとした気持ちになりました。土手にはプリマベーラも咲き、黄水仙も咲いて、愈々春がやって来たようです。

*「一輪の黄水仙をキューリーに」( UNE JONQUILLE POUR CURIE ) : 春の訪れを告げる黄水仙、“癌の治療、研究、そして希望に花を咲かせよう”( faire fleurir l’espoir contre le cancer )という運動が、キューリー研究所(l’Institut Curie)を中心に毎年行われています。今年も3月14日から18日迄、パンテオン広場(Place du Panthéon)に花壇を設けて“心の黄水仙”(des jonquilles du coeur)を売るなど、その他ラ・デファンスや全国各地のショッピング・センターでも色々とアニメーションを開催して、募金運動が展開されます。

*ポンピドー・センターは40才 ( LE CENTRE POMPIDOU A 40 ANS ) : 1977年1月31日に開館したポンピドー・センターは、建築家レンゾ・ピアノ(Renzo Piano)とリチャード・ロジャース(Richard Rogers)の設計による建物の奇抜なスタイルから、当初は“メタルとパイプの化け物”等と不評でしたが、今では国立現代美術館として、美術コレクションではニューヨークのモダン・アート美術館(MoMa(Museum of Modern Art)de New York)に次ぐ堂々世界第2の規模となりました。

過去40年間には大小325の展覧会を開催しましたが、美術館だけでなく、図書館、映画館、劇場や子供センターもあり、建物の外側に設けられた“毛虫”(la chenille)と呼ばれるエスカレーターに乗れば、パリの全景を見渡すことが出来ます。ポンピドー・センターのアネックスとして、パリから340㎞、フランス北東部の町メッス(Metz)には日本人建築家の坂(バン)茂氏設計の新しい感覚のポンピドー・センターが、スペインのマラガにはビュラン設計の“キューブ”と呼ばれる建物のセンターが既に存在し、上海にも設立が予定されています。

*サイ・トゥオンブリ―展( Expo. CY TWONBLY ) : 現在ポンピドー・センターでは、アメリカ生まれでイタリア在住のアーチスト、サイ・トゥオンブリ―(1928-2011)の絵画、デッサン、彫刻など140点を展示して大回顧展を開催しています。文芸に造詣が深く、高い教養が伺われる洗滌された作品の数々は鑑賞に値することでしょう。まだ存命であった2004年3月にも“サイ・トゥオンブリ―50年のデッサン展”( Cinquante année de dessins )が同センターで開催され、1953年から2003年迄50年間の作品の中から80点余りを展示して好評を得ています。

Centre Georges Pompidou, Place Georges Pompidou,Paris 4区、メトロRambuteau, Hotel de Ville下車、 4月24日迄、火曜日を除く毎日11時~21時、入場料14€です。

*カミーユ・ピサロ“最初の印象派画家”展( Expo.CAMILLE PISSARRO « LE PREMIER DES IMPRESSIONNISTES » ) : 明るい光のもと、大気に鮮明な、或いはボンヤリと霞んだような、色も自然な懐かしいような美しい景色、人物・・・正に印象派を代表する画家の1人と云えましょう。

ピサロは自分が絵描きとして制作するだけでなく、セザンヌやゴーギャンなどを教え、又シニャックやスーラはピサロが居なかったら今日に知られる画家として育たなかったであろうと云われています。更に今も残る2500通余りの書簡を通して、文学にも長けていたことが解ります。

今回は印象派画家クロード・モネの美術館で知られるマルモッタン美術館で、アメリカや日本、チェコなど世界各国のコレクターから集めた、あまり知られていない作品ばかり60点を展示しています。7月2日迄、Musée Marmottan, 2,rue Louis Boilly, Paris 16e, メトロ La Muette下車、月曜日を除く毎日10時~18時、木曜日は21時迄、入場料11€です。

*ヨット・レース「ヴァンデェ・グローブ」(« LE VANDEE GLOBE ») :(1月号参照)4年に1度の単独・無寄港の大ヨット・レース第8回は、昨年の11月6日ヴァンデェ地方サーブル・ドロンヌ港から29人が参加、80日間世界一周を目指してスタート、悪天候、故障、孤独等の悪条件に多数のレース放棄も出ましたが、今年1月19日16時47分、ブルターニュ地方の海の男アルメル・クレアッシュ(39才)が74日3時間35分の新記録を樹立、サーブル・ドロンヌ港にゴールして優勝しました。

その時に「おめでとう。大いに遅れてゴールは2月末になるので、今夜の祝いの宴には残念ながら欠席」と祝電を打ってきた最終走者セバスチャン・デトロモーは3月2日に「あと8日でゴールの予定。食料が不足して1日1食に減らし、魚釣りもして凌いでいる」との連絡をよこした後、出発より124日目の3月10日18時00、1着から50日の遅れで無事にゴール。

これで29人中11人が完走してレースが終了しました。

*パリ・リヨン駅318日、19日の2日間閉鎖 ( LA GARE DE LYON FERMERA 2 JOURS ) :フランス国鉄(SNCF)では、3月18日と19日の2日間に亘り、1933年以来使用の旧式転轍機の全てを交換し、新たにする為、思い切って大きなパリ・リヨン駅を閉鎖します。郊外から通勤の方、TGVをご利用の方は代替駅が何所になるのか、十分な情報を得るなり、ご注意下さい。

*夏時間 ( L’ HEURE D’ ETE ) : 3月26日(日)午前2時から夏時間となります。3月25日(土)お寝み前に時計を1時間進めて下さい。(例:22時を23時に)日本との時差は7時間となりますから午前8時は日本では同日午後3時になります。10月29日(日)の冬時間迄続きます。

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2017年3月12日 Sainte Justine :日の出07時10分:日の入18時51分    パリ朝夕5℃/日中15℃曇天、ニース8℃/16℃晴天、ストラスブール0℃/12℃晴天
「地平線春の兆しか陽炎が」 (安芸寛)    皆様お元気で 

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