天為ネット句会報2025年12月
※特選句、入選句内の順番は互選点、句稿番号の順。
また互選句は句稿番号順に並べております。
感謝祭イアンノットのスニーカー 永井 玲子
感謝祭でのプレゼント。スニーカーの靴紐がほどけないイアンノット結びなのは、愛の結びつきをより強くという暗喩。(法弘)
教科書となるハワーズエンド秋灯 土屋 香誉子
愛の力で社会的格差を克服しようとする物語が「ハワーズエンド」。教科書となって子供の心に残ってほしい。(法弘)
一木に登る三人や松手入 明隅 礼子
立派な大木。三人は「みたり」と読ませるのだろう。(法弘)
松の手入れは大変な作業ですね。(孝雄)
三人で手入れしてああでもないこうでもないとそこには合評があって手入れも楽しみの中となる。(伊葉)
由緒ある大切な松なのでしょう、大木なのでお手入れも大変ですね。(春野)
香誉子、恭子、志昴女
堂守は猫のふくさん冬うらら 斎川玲奈
猫の駅長さんならぬ、猫の堂守さん。ほのぼの。名前もふくさん。(法弘)
「ふくさん」とは、良い名です。(誠治)
どこの御堂か番人は猫のふくさん、この名前がすべてです。この名前だからこそ広がる世界が面白い!(律子)
ふくさん 名前で決まり(久丹子)
澄江、百り子、春野
正座して賀状じまいを書く日暮 阿部朋子
これで終いかと思うと感慨は深く、正座に姿勢を改めて書く。(法弘)
賀状じまいを決心すると改めて神妙に相手や来し方を思う。日暮が一抹の寂しさを伝える。(ゆかり)
これまでの長いお付き合いの御礼を書いている様子がわかります(智子)
ご自分の決断、先方への礼節、越し方行末の思いまで上五が語っている。ふみ
道代、尚
妻の留守我も居留守や雁の棹 宮川 陽子
宅配便にもNHKの集金にも出ないで、庭で雁を眺めている。ゆったりしたひと時。(法弘)
奥様がいらっしゃらないといろいろ大変そうなのが分かります。でも、奥様を大切に思っていらっしゃるのも伝わります。(敏)
玲子、百り子、香誉子
丁寧な夫の手仕事吊し柿 嶋田 夏江
その丁寧さに惚れたのかも。(法弘)
実景が目に浮かびます。哲雄 時間をかけてじっくりと丁寧な手仕事。意外と男性の方が得意かも(智子)
手鞠
墓碑銘は「旅」の一字や小春風 須田 真弓
フーテンの寅さんのように、飄々と旅に生きた人か。(法弘)
「旅」の墓碑銘とは何とも素敵です。(博美)
新しき墓石を一つ建て増したのだ。皆で思案して、「旅」と彫ってもらった。故人を偲ぶキーワードだ。(茂喜)
故人は風に乗って空を旅している事でしょう。ふみ
待つことの灯の美しきクリスマス 佐藤 博子
「美しき」は、待つことの美しい、灯の美しいの両方を受けている。(法弘)
何かを待つことで見える美しさ。(敏晴)
おとなになってもあるクリスマスを待つ気持ち、それを灯に託して美しいと詠まれたのに共感(律子)
時ニ世ノ空気恐ロシ開戦日 伊藤 正規
時局が動き出したら、止めることは出来ない。動かないようみんなが重しに。大事なのは平和。(法弘)
時勢の空気感が伝わって来ます。二度と繰り返してはなりません(憲史)
ちゃん付の呼び名懐かし帰り花 合田 智子
懐かしいが、気恥ずかしくもある。(法弘)
尚
さよならの余韻をはらふ時雨かな 木村 史子
時雨が別れの余韻の邪魔をする。(法弘)
別れを惜しむ二人を引き離すように降り出した時雨。暫く待てば止むかもしれないが。切ない初冬の景。(博行)
張り薬ひんやり肘に冬初 鳩 泰一
湿布のひんやり感に冬の到来を知る。(法弘)
葱の香や父似の姉と母似の吾 金山 哲雄
年を取ると、親に似ているのがよりはっきり分かる。(法弘)
三歳はスキップの歳七五三 内村 恭子
スキップの歳というのに実感があります。目の前に三歳児がいないと子の言葉は出てきません。(桂一)
七五三の子供の、親の悦びがよく表現されている。(郁文)
初めてスキップができました。家族皆なでお祝いですね(憲史)
とても可愛らしいお句。七五三の言葉もスキップのように弾みます(美穂)
立哉
家ごとに異なるレシピ感謝祭 中川 手鞠
玲奈
亡き母は老ゆることなく菊薫る 髙橋 紀美子
お母さまの「遺影」に菊を手向けておられるのかな。(孝雄)
亡くなられたお母様の写真を見て帰ることの出来ぬ日々を思い出している。しみじみとした句。(光男)
母の遺影は老いることがない。若いお母さんだったのかな。(泰一)
心に残る母はいつまでも若い。同感です。(肇)
手鞠
境内を照らす一本銀杏落葉 原 道代
命日に菩提寺を家族一同で訪れたのだろう。銀杏大樹が参道を埋めている。人の世の美景の一つだ。(茂喜)
銘仙の零戦柄の冬羽織 西脇 はま子
古着屋で見た事がありますが零戦柄がトレンドとは切ない時代です。ふみ
黄落や鳥の声降る石畳 岡部 博行
玲奈
風音の尖るあたりを沖時雨 日根 美惠
尖るあたり・・のあたりでまことに俳句らしい。(伊葉)
中七の「尖るあたりを」がいいですね。哲雄
那智子、順一
地吹雪の行手に熱き
寒々しい中、恋を育んでいる海馬が健気で応援したくなります。(相・恵美子)
楡大樹 火となり登る蔦紅葉 森山 ユリ子
蔦紅葉が導火線となり焦がす焔の情景が描写されている句といただきました 余慶
紀美子
菖蒲田の水の抜かれて冬に入る 岡部 博行
水を抜かれてひび割れた地面はこれから厳しい冬に入る。でも半年後の色彩も幻視できるようだ。(ゆかり)
雅司
独りには一人分なるクリスマス 荒木 那智子
一人でも寂しくはない、足るを知る心の充実。(敏晴)
河豚刺しのほどよく盛れる黒唐津 垣内 孝雄
温みのある黒唐津の大皿。紅葉おろしとあさつきたっぷりの彩合い、美味しさも増すことでしょう。(博子)
蒲団干す吾に休日の謀り事 鹿志村 余慶
良いお天気…まず蒲団を干して、それから何をしようか…思いを巡らせて。(美穂)
那智子
冬林檎貰ひて帰る介護かな 野口 日記
介護をして貰う人からの感謝の気持ちが冬林檎から伝わつてきます。(はま子)
感謝の印に冬林檎、心温まりますね。哲雄
諏訪湖水鳴いて潜りてかいつぶり 熊谷 幸子
楓
短日や暮色に遠き地下の街 金山 哲雄
地下街には夕暮れがない。しかし一日は過ぎてゆく。(泰一)
確かに地下街は暮れる空の色は届かず時間の概念が薄くなりそうです(美穂)
なりゆきで齧つて見せる唐辛子 上脇 立哉
「この唐辛子は甘いよ」とでも云ったのだろうか。面白い句です。(肇)
どんな成り行きなのでしょうか。お味はいかがでしたか。(はま子)
志昴女
たたなづく稜線青く冬紅葉 竹田 正明
玲奈
終活の後のスペース石露の花 染葉 三枝子
終活の後のスペースというのが現代的な視点。言葉が先走りしているかも。(桂一)
余分なものを捨てると、その余白に自然が立ち上がってくる。(敏晴)
立哉
竹生島一夜に錆びて神送り 日根 美惠
「一夜に錆びて」はどういうことか。竹生島の神々も出雲にお出かけになる日の、この神聖なる島の神秘的な出来事と思えば納得してしまう。(ゆかり)
一夜に錆て が効いていると思います。(博美)
半時の散歩をはさむ冬支度 土屋 香誉子
ご自分のペースで。(孝雄)
待ち人の傘に時雨るる渡月橋 竹田 正明
中七が渡月橋の景を映している句といただきました 余慶
陽子
千枚漬仕込む「天安」冬に入る 荒川 勢津子
博嗣
明日までは待てぬ話の湯ざめかな 鳩 泰一
待てぬ話とは可笑しみのある句です (幸子)
今日中にしておきたい話があるという家人。話が長く湯冷してしまったという微笑ましいあるあるの景。(博行)
史子、紀美子、正規
冬晴や鳥語正しくわかる人 土屋 尚
鳥語のわかる本を買いました。声を拾うのが楽しみになります。(博子)
正規、百り子、正明
寂れゆく街染みじみと冬夕焼 小高 久丹子
澄江
自転公転異常気象に柘榴割れ 牧野 桂一
那智子
いかるがに幸田文の名塔の秋 今井 温子
博嗣、日記
久闊を叙し小春日を共に愛で 森山 ユリ子
同窓会か親戚の集まり?小さい頃を知る人からでしょうね。子どもの頃に戻っているような、懐かしさや嬉しさ、恥ずかしさまで伝わり、微笑みました。(敏)
弁慶が羽子板市の高みより 芥 ゆかり
いや~決まってますね!睨まれたら買わなくちゃ!(早・恵美子)
恭子、正規
雪吊や動きの止まる棋王戦 中島 敏晴
伝統の雪吊作業の美に眼がいった瞬時。対局者の緊張がほころぶ景がみえる。(郁文)
史子、立哉、恭子、由紀子、日記、香誉子
讃美歌の手話の合唱アドベント 野口 日記
手話のひとつひとつに暖かさが伝わって来ます。(相・恵美子)
澄江
冬隣薪積上げて富士見へず 永井 玲子
生活感が出ている。春になったらまた、富士山が見えますね。(佳久子)
手鞠
疲れたといふこと知らず石蕗の花 福田 誠治
庭を明るく元気づけてくれるような色、それをひっくり返せばこの表現。(伊葉)
冬ざれや籠の地野菜みないびつ 相沢 恵美子
野菜のいびつと冬ざれという季語がマッチしている。(光男)
家庭菜園の冬野菜。いびつもご愛敬です(智子)
正明
塀寄りの金柑もつとも丸く生る 河野 伊葉
志昴女
日脚伸ぶサンドウィッチの卵焼き 荒木 那智子
楓
幼子のおむつモコモコ小春風 森野 美穂
史子、陽子
ドーナツの穴のでこぼこ冬兆す 向田 敏
ドーナツの穴の凸凹に手作り感がある。本当のおいしさはこの凸凹の中にある。(桂一)
目薬を左に右に小六月 中川 雅司
なぜ左目から入れたのでしょう?右利きなのでしょうか?秋の花粉症でしょうか?些細なことですが、暖かさは気持ちも少し上がりますね。(敏)
葛湯吹きふつとこぼるる国訛り 中村 光男
暖かい葛湯で身も心も緩んだのかな。(泰一)
寒い中暖かな葛湯に心身がほぐれ、いつもは出さないお国訛りが口をつきます。(春野)
葛湯を吹いて温まり心が解き放たれた時口をついて出るのは故郷の言葉。葛湯にはそんな力があるのでしょうか(律子)
尚、順一
見得を切る艶一段と十二月 合田 憲史
京都南座の顔見世興行 今年は八代目尾上菊五郎、六代目尾上菊之助親子が襲名披露 初日二日の「花街の総見」の客席も艶やかです。(美惠)
大歌舞伎見得も冴えます (幸子)
寒昴我が名呼びたる君のこゑ 佐藤 律子
天から聞こえたのか、背後から聞こえたのか、はたまた横から、、、想像が想像を呼びます。(誠治)
畳まれて日矢やはらかき落葉かな 阿部朋子
雅司
小春日や順番待ちのすべり台 井上 澄江
孫といっしょに公園に来ることが多い。少し曲がった大きめの滑り台は人気がある。風を切って砂場に降りる。(茂喜)
公園の滑り台に列をなして順番待ちをする子供たちを日差しが優しく包んでいる。穏やかな小春の景。(博行)
堤防にカモメ整列島小春 井上 澄江
瀬戸内海の小島の堤防に整列したカモメはそれはそれは一見の価値がありますね。皆様一度お越しを!(憲史)
丑三つに霜立つ音や夢の底 郁文
霜降る夜中の状況が浮んできます。霜立つ音というものが本当にあるのか知りませんが、信憑性を感じます。(光男)
芳彦
蒼穹のさねさしさがみ竜の玉 金子 肇
「蒼」「さねさし」「さがみ」とさ行のかさなり、そして竜の玉も蒼いので、印象的な句。(佳久子)
弟橘比売命の走水、相模の由来から相模の蒼い空と竜の玉のコバルトブルーが観応して季語が色彩を放っている句といただきました 余慶
楓、雅司、玲子
つゆけしやガラシャの眠る紫野 長岡 ふみ
芳彦
安曇野の小さき図書館枯木立 髙橋 紀美子
日記
熱の子の吐息林檎をすり下ろす 染葉 三枝子
道代
山痩せて眠らざる熊里荒ぶ 合田 憲史
熊の駆除の施策は森の再生と同時に行ってほしいです。「銃で撃たれた母熊のお腹の中は空っぽでした」のニュースは哀しいです。(美惠)
心が痛みます (幸子)
上五の措辞がいいです。(肇)
飢えれば人を怖がっていられない。痩せる山、里山の衰退、マタギの減少も国策でなんとかならないものか・・・。(博子)
朋子、道代
冬晴に書店平積み新刊書 森野 美穂
朋子
枯葉舞ふ衣擦れの音舞殿に 芥 ゆかり
枯葉が舞い空気が乾いている中に衣擦れの音が聞こえて来るようです。(相・恵美子)
正明
白物の薩摩の香炉冬椿 石川 由紀子
きっと紅椿一輪活けてあるのでしょう。椿が生きています(早・恵美子)
帰り来る子の靴音や雪もよひ 明隅 礼子
陽子
茶の花や古伊賀の銘の「うずくまる」 佐藤 博子
伊賀の花生「うずくまる」に茶の花はピッタリです。(博美)
うずくまるの丸みとお茶の花が響き合っています(早・恵美子)
白鳥の声の野太き古墳群 西脇 はま子
日本武尊・・・(美惠)
悲しい父子物語。白鳥に化身して飛び立ったのが、救いです。(博子)
由紀子
山頭火しぐるる中を傘もなく 児島 春野
「うしろすがたのしぐれてゆくか」の山頭火を写生した句。(佳久子)
朋子
パンクせし自転車を押す開戦日 金子 肇
へこむことはあっても、戦争のない日常はありがたいものです。(誠治)
AIも心変はりか秋思かな 向田 敏
相談されたり慰安の相手となったりばかりではAIもだんだん‥人並の知能すでにと言われていますから人間もうかうかできません(久丹子)
熊祭果てて阿寒の星冷ゆる 熊谷 佳久子
富岡鉄斎の画集で熊祭を見たことがありました。可愛がって育てられたのに弓矢で撃ち殺された熊は冬空高くお星様となるのでしょう。(はま子)
果てての引用が的をえている。(郁文)
祭りの余韻に星空の美しさと静寂 この上ないロケーションです(久丹子)
紀美子、博嗣、芳彦、玲子、由紀子
以上
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