天為ネット句会報2026年2月
※特選句、入選句内の順番は互選点、句稿番号の順。
また互選句は句稿番号順に並べております。
金継ぎの椀の手触り冬深し 鳩 泰一
金継の柔らかいふくらみが、冬の底にいる心身を和ませてくれる。(法弘)
高級茶碗は金継ぎすると又よみがえりますね(みつ子)
陽子、日記、澄江
咳き込めば電気の紐が遠く有る 石川 順一
何となく放哉を思わせる淋しさ。(法弘)
昨年末、夜中に激しい咳が続きひたすら休養の日々を過ごしました。心細さをまさに実感しました。(博子)
恭子、手鞠
白鳥の紙折るやうにたたむ羽根 荒木 那智子
美しい比喩。(法弘)
中七がお上手ですね。(春野)
白鳥の大きな羽を折りたたむ様子はまさに紙を折りたたむようにです(美惠)
大きな羽をゆっくりたたむ仕草が目に浮かびます。(哲雄)
確かに良く見ればそんな感じですよね。正規
大きくなるほど比喩のように所作も優雅。見惚れてしまいます。(博子)
尚
それぞれの証書紙漉く六年生 石川 由紀子
卒業証書は手作り和紙で。(法弘)
六年生が自分で紙を漉いた卒業証書は掛け替えのない思い出になりますね。(相・恵美子)
いつまでも思い出として残ることでしょうね。(哲雄)
自分で漉いた卒業証書はよい記念になりますね(智子)
卒業証書用なのでしょうか?いい記念になりますね。きっとおとなになっても何度も見返すことでしょう(律子)
日記、香誉子
老友や会ふだけで足る寒日和 荒川 勢津子
何を語るでもなく、生かされていることへの感謝。(法弘)
お互い「元気」という幸せ。(孝雄)
共に学びし同郷の友と会えば同じ話で盛り上がる。東京駅の屋根に降り来る雪を見上げて握手を交わす。(茂喜)
会う事で心満たされる友人、年月が育ててくれるのでしょう。ふみ
即かず離れずのほどよい関係が長い友情を育むのですね。”寒日和”がいいですね(智子)
真弓
突貫の線路交換大地凍つ 中村 光男
定時運航に待ったなし。安全作業も怠りなく。(法弘)
凍てる夜の作業を ご苦労様です (幸子)
純夫、香誉子
梅日和本丸を背に屋形船 冨士原 博美
松江のお城か。(法弘)
普段なら本丸に向く乗客の視線を、今日は満開の梅に取られてしまったようです。(春野)
玲奈
弦失せし蝉丸の琵琶初松籟 芥 ゆかり
弦のないことで、一段と侘しさが増す。(法弘)
琵琶の名手とされる盲目に引く弦が無くなったのを、初松籟と聞いている、心に響きます。(博美)
夕べ聴く二胡の調べや冬牡丹 鈴木 楓
日中友好は大事。(法弘)
陽子
夫に買ふ土産は地酒雪ばんば 宮川 陽子
女同士の気の置けない温泉旅か。夫への土産も忘れない。(法弘)
芳彦
落日の色を掃きたる白障子 熊谷 幸子
冬の淡い夕焼けが障子に映える。(法弘)
浅き春まだ胸を突く失恋歌 児島 春野
幾つになっても、何年たっても、切ない思い出。(法弘)
グエンさんの夢はマンガ家春を待つ 金山 哲雄
グエンさんはベトナムの人か。夢を持つ人を応援する。(法弘)
葉付き大根子を抱くやうに買ひ来る 中村 光男
大根に目鼻を描けば人の顔になる。(法弘)
水甕に潤む春星灘泊り 河野 伊葉
百り子
松過ぎや恐れつつ乗る体重計 中川 手鞠
まさにトホホな実体験。食べれば体重が増えるのは胃腸が正常に働いている証拠と自分を納得させます。(博行)
大寒や典座修行の御御御付 石川 由紀子
大寒 御御御付の暖かさは修行の身にいかばかり(久丹子)
雅司、匠子
雪女に熱き心のあるまじく 長岡 ふみ
恭子
小禽の一羽づつ浴ぶ寒の水 榑林 匠子
桶か盥に汲み置いていた寒の水か。小さな鳥が順番にやってきては飲んだり浴びたりして去ってゆく。寒の水が持つという効能を本能的に知っているのだ。(ゆかり)
一羽づつというのが寒の水らしく夏の水浴びならきっと小禽たちは集まっていそうな気がします(律子)
尚
冬銀河シャブリワインの栓を抜く 垣内 孝雄
辛口の白ワインがぴったりです(憲史)
百り子
蜜柑むく旅に花咲く4人掛 郁文
和やかな情景が目に浮かびますボックスのシートにピッタリです(早・恵美子)
大北風の走り抜けたり平城宮 冨士原 博美
復元された平城宮は広々としていて、大北風も快く走り抜ける。(肇)
心地よき兜太生家の隙間風 須田 真弓
夏江、玲子、三枝子
山火事へ出動飛機の振動音 土屋 香誉子
寒風の枯れ山へ過ちの焚火か吸い殻か、山の怒りか自然の鼓動か、一段と山火事は増えてゆく。(茂喜)
今冬は乾燥し度々山火事が起こりました。下五が山火事の大きさを語っているようです。(相・恵美子)
春いつぱい老舗菓子屋のショーケース 合田 智子
春の趣きいっぱいの色とりどりのお菓子が思い浮かびます(美穂)
老舗店の意地をかけた春の新製品の粋が伺える。(郁文)
初菓子でしょう。とりどりの色の鮮やかさは、まさに春のときめき。(ユリ子)
鰭酒は世界に唯一九条も 金子 肇
九条の受け止めがいい。大分も鰭酒の旨いところです。特に臼杵がいい。(桂一)
山茶花のこぼれに馬頭観世音 斎川 玲奈
正明
斥候のやうに二輪の梅開く 土屋 尚
斥候は「後に続け」というか「しばらく待て」というか。(肇)
ママちやりに油注す夫日脚伸ぶ 合田 憲史
愛がありますねぇ。(誠治)
沈みそうな島をみている春の海 小高 久丹子
沈みそうなと捉えたところがうまい。 (伊葉)
一の矢の的入る音や淑気満つ 阿部 旭
きりっとした句ですね。身の引き締まる思いがいたしました(早・恵美子)
三枝子、由紀子、雅司、那智子
ポンと打つ帛紗捌きの淑気かな 長岡 ふみ
帛紗捌きポンがきいてます(みつ子)
凛とした美しい所作の淑気。(ユリ子)
玲奈
胸焦がすことなきくらし寒牡丹 熊谷 佳久子
そうは言っても年二回ちゃんと咲いてくれます。寒の時期にも!余生のしっかりした歩みが感ぜられます(憲史)
純夫
針供養豆腐と蒟蒻給食に 髙橋 紀美子
立哉
瀬戸内のあかるさにある春障子 河野 伊葉
瀬戸内の明るさと春障子が響き合うように思いました(美穂)
瀬戸内に対する挨拶と春の障子が一層まぶしい句ですねといただきました.余慶
史子
雪の日や心安らぐ針仕事 嶋田 夏江
中七「心安らぐ」に惹かれる。(孝雄)
日記
初場所や化粧まわしの国花かな 髙橋 紀美子
ウクライナの国花でしたね (幸子)
向日葵のみならず安青錦の化粧回にはいつもメッセージが読み取れますね。ふみ
筑紫野の烏鷺さわぎたり久女の忌 佐藤 博子
博嗣
境内の落葉に響く雨の音 妹尾 茂喜
落葉に響く~で句に重厚さが出ている。(伊葉)
夜泣き石噎ぶ城跡冬ざるゝ 鈴木 楓
夜泣き石を擬人化し「噎ぶ」の表記が効いてます。(相・恵美子)
煮凝りや弁当箱に想ふ母 野口 日記
私も母の弁当は楽しみでした。鰈の煮付けかしら、鶏肉の煮付けかしら?何にせよ母の愛情は深いものです(憲史)
甕割れてどさと昨夜の雪を吐く 阿部 朋子
甕中の雪が、夜の内に凍ってついに割れるほどの寒気。「雪を吐く」と、詩の世界に昇華された。(博子)
手鞠
凍空やビルのあわひのモノトーン 佐藤 律子
都会の冬 モノクロームのハーモニー(久丹子)
都会の真冬の空の様子をクリアーでクールなタッチで描き切っている。(博行)
朋子
手袋を外し本音を語り合ふ 森野 美穂
人生のことか、スポーツのことか、プラントの挙動のことか、はたまた政治のことか。いろいろな場面が浮かびました。(誠治)
由紀子、手鞠、玲奈
冬空の全き碧をふと不安 松山 芳彦
朋子
出不精を決めてひねもす春炬燵 竹田 正明
瞼の重くだらりとした一日、小生の年齢になると一層気になります。脱フレイル、がんばるぞー!余慶
寒月やニライカナイの波の音 中川 雅司
冬の月を見て古くから伝わっている理想郷に想いを馳せている、沖縄の海でしょうか。(博美)
楓、道代
石焼芋はんぶん朗人先生に 西脇 はま子
深く心に沁みる句。(孝雄)
朗人先生の人柄が良く出ている。(桂一)
生かされて瓦礫に遊ぶ虎落笛 牧野 桂一
勢津子
息白し歩幅大きな旅ガイド 内村 恭子
周りの方達はついてきていますか。大丈夫ですか。正規
ぼろ市や薬玉吊るす空の青 野口 日記
真弓
天に星地に寒灯の木地師村 早川 恵美子
北陸の木地職人の夜更けも忘れるほどの丁寧な仕事ぶりが星空に照らされている。ふみ
楓、純夫
年賀状細き絆を仕舞ひけり 井上 澄江
賀状を出さなくなった風潮に加え年寄りが多くなり廃止する傾向にあり正に細き絆です。 (郁文)
年に一度のおつきあいの細き絆も’年賀状仕舞い’ですね。さみしいです(智子)
夏江、楓、勢津子
射す針に鮮血流る寒九かな 阿部 旭
この冬私も点滴のための注射針を、入らないので何度も射された経験があり、「鮮血流る」「寒九」で鮮やかな句でした。(佳久子)
史子
おぼろげなかたちを追うて毛糸編む 木村 史子
私も自己流でよく編みますよ(みつ子)
製作図のない経験と熱意のみの世界。男にはまるで??? (郁文)
春野
牛舎に湯気搾乳時刻春隣 岡崎 志昴女
博嗣、道代
初場所や行司袴の折目美し 髙橋 紀美子
初場所の清々しさと行司職の気概が折目美しに伝わってくる句、いただきました 余慶
夏江、雅司
同じ書を探すふたりや冬の書肆 明隅 礼子
恭子
寒風に干されて蛸の足踊る 熊谷 佳久子
生身の足の迫力も形無しというところですがこれはこれで蛸らしいとも(久丹子)
那智子、澄江
冬鷺の解脱手前の背中かな 児島 春野
冬の鷺の凛とした立ち姿の背に解脱ですか・・・このように書ける方が羨ましいです。(美惠)
寒波来る強張つてゐる川の面 相沢 恵美子
水面がこわばるという表現に感服致しました(早・恵美子)
竹爆ぜる音は天へとどんど焼き 岡部 博行
水面がこわばるという表現に感服致しました(早・恵美子)
検温のナース初富士褒めて行き 永井 玲子
富士の見える病室で初春を迎えた一コマ。快癒を祈る。(泰一)
患者さんに明るい話題を提供して下さる看護師さん、素敵です(美穂)
初富士を褒めていったと言う表現が良いと思いました。正規
那智子
凍てる夜の貫入の音明日は晴れ 熊谷 幸子
貫入の微かな音は乾ききった空気に生まれる、「明日は晴れ」が良いですね。(博美)
研ぎ減りし菜切り包丁春の水 日根 美惠
老練な板前さんの人生を垣間見たような。(泰一)
百り子、澄江
まだ赤き生活の手や浅き春 伊藤 正規
伊葉、正明
相州の冬青空の底抜けて 金子 肇
青空の底は天にある。天に抜けるような冬青空の空気感と「そ」の音の優しさもいいと思う。(ゆかり)
七草や江戸の古地図は寺ばかり 永井 玲子
江戸時代の寺には寺請制度等色んな役目がありましたね。(泰一)
史子、道代、匠子、正明
玉繭を振ればからから山眠る 小栗 百り子
「からから」で冬の乾いた空気と静かさがよく伝わりました。(佳久子)
玲子
冬銀河三畳一間の窓越しに 垣内 孝雄
京都での浪人時代、寮の自室が3畳一間だったことと重なりました。(誠治)
マスクして皆若がへるホームかな 土屋 香誉子
立哉、三枝子
あと五分三寒四温の目覚めかな 合田 智子
同感 (幸子)
古き冬帽古書街を歩く日は 内村 恭子
古書街巡りを楽しむ日にあえて愛用の古い帽子を選んだ。どちらも愛着の手触り感がある。(ゆかり)
古書街に古き冬帽似合います。かっての自分と一緒に(美惠)
芳彦
蕗味噌や母の遺せる当り鉢 鹿志村 余慶
信州の民宿の主より蕗味噌の作り方を見せてもらったことがあり、この方は当り鉢から母上を思いだし、しんみりとした句でした。(佳久子)
あったあった、実家には大きな当り鉢が。母が手をかけて旬の素材で和えものを作っていたことを思い出しました(律子)
朋子、芳彦、勢津子
食べかけのチョコの銀紙雪催 木村 史子
由紀子、匠子
目隠しのひとの真顔や福笑 伊藤 正規
福笑いの顔と、それをする人の真剣な顔との対照をうまく捉えましたね。(哲雄)
陽子、香誉子
惑星の程よき緯度に日向ぼこ 鳩 泰一
日向ぼこから惑星の緯度へ目が向いたところに詩がある。(桂一)
生活の季語である日向ぼこと惑星や緯度という硬質な言葉の組み合わせが楽しい。不思議な感じがする。真弓
上五中七の巨視的な空間把握と日向ぼこの長閑さのズレ感のある取り合わせが絶妙。(博行)
地球の中緯度に住む幸せをあらためて教えられました。(肇)
尚
節分や賜る豆の粒揃ひ 佐藤 律子
玲子
生命の起源の如し初山河 明隅 礼子
元日の朝、数年ぶりに故郷の山河を眺める。我が命も鳥や獣もこの地に生まれ、旅に出た。一句を得たり。(茂喜)
以上
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