天為ネット句会報2026年4月
※特選句、入選句内の順番は互選点、句稿番号の順。
また互選句は句稿番号順に並べております。
農小屋はひとり天国葱坊主 今井 温子
「ひとり天国」がナイス!農小屋という隠れ家があってうらやましい。(法弘)
好きな時間に土を触り 好きな時間に一休み(美惠)
葱の種を楽しんで取つて居られる様子が良く分かります。(孝子)
リラ冷と言ひたる人を懐かしむ 西脇 はま子
熊谷佳久子さんのお母さんの榛谷美枝子さんが初めて「リラ冷え」という言葉を使い、以後、人口に膾炙して季語となった。(法弘)
この人は北海道の方だろう。そういえばあの人はリラ冷とよく言っていたなぁ、どうしているだろうかと、この時期になると思い出すのである。(ゆかり)
ふるさとに戻り早起き青き踏む 郁文
童心に帰って気分が浮き立ち、ついつい早起きに。(法弘)
心優しい句で、春を実感するのは愛らしく、華やかな桃の花です。真弓
伊葉、三枝子
お遍路の白き靴ひも蝶結び 河野 伊葉
女性のお遍路さんだろう。(法弘)
お遍路さんも老若男女ですね。(孝雄)
歩きお遍路さんのしかりとした気骨感じます。 (温子)
靴紐をしっかりしめて結願までがんばりましょう(智子)
一匹の子猫のいればそれだけで 金子 肇
沈黙を救ってくれる仔猫の存在はありがたい。(法弘)
猫と一緒に生活して居るだけで幸せなのに 仔猫が居たら世界が変わります(美惠)
尚
桃の花とかく張り合ふ姉妹 長岡 ふみ
お姉ちゃんが譲ればよいのにそうもいかない。(法弘)
どうしても兄弟姉妹は競い合うものですよね桃の花でやんわりとよく出ています(みつ子)
日記
水切りの上手くなりたる日永かな 内村 恭子
毎日やっているといつしか上達し、季節も変わった。(法弘)
午後の半日河原に次男の水切りに付き合う兄と父。(正規)
春一人、他に何もせず水切りを繰り返す気持ち(敏晴)
糞虫に春の光や東大寺 伊藤 正規
糞虫は自然界の掃除屋さん。底辺で支える虫に廬舎那仏のご加護の光がさす。(法弘)
東大寺の春を糞虫の甲の輝きにとらえたところが面白い。(肇)
世界線張りめぐらせて受験室 木村 史子
物理の公案か、パラレルワールドを夢見ているのか。受験室という閉鎖空間の設定が面白い。(法弘)
博嗣
百態のさるぼぼ吊るす木の芽風 須田 真弓
百体で百態のさるぼぼが春を呼ぶ風に揺れる。冬の厳しい飛騨にもやっと春の訪れが。(法弘)
目を細む手引観音和たんぽぽ 染葉 三枝子
人々を導いて救済してくれる観音様の働きの一つが手引。目を細めるという慈悲の姿が具体的。
烏野豌豆巻髭の三つ巴 小栗 百り子
よく観察して写生の一句。(法弘)
ミモザ売り遠く過ぎゆく巴里の空 向田 敏
ミモザの黄色と青い空…パリの春の景色が感じられました(美穂)
イースターの花、女性の日の花。花ミモザの明るい希望の表現がいいですね(ユリ子)
パリの色や香、女性の日が感じられます。過ぎゆく・・・に、少し不穏の気配も。(博子)
シーカヤックしづかに春を進みけり 荒木 那智子
細長いカヌーが春を進む…静けさの中にも生き生きとした感じがいいと思いました(美穂)
恭子
風光る明日は島へと嫁ぐ人 児島 春野
これから始まる島の生活のスタートに風光る、はぴったりだと思いました(美穂)
志昴女
唱歌なる朧月夜やビブラート 竹田 正明
蓬の若葉を搗きこんだ草餅を作る。この頃いつも作ってくれた母の愛を思い出す。母はもう旅立った。(茂喜)
草餅や隣に母のゐるやうな 熊谷 佳久子
お母様はとても草餅がお好きだったのですね。(正規)
草餅は懐かしい母の味がする。(桂一)
「草餅あります」に弱いのはそのせい?(泰一)
恭子、日記、勢津子、尚
後鳥羽院遠流の島の木の芽吹く 西脇 はま子
楸邨の「隠岐や今」の句を踏まえて。心通じる句。(佳久子)
木の芽吹きはうれしいもの、まして(夏江)
自然豊かな島の春は後鳥羽院の傷心を慰めたことと思います。(春野)
紀美子
青空を映しこぼさぬ春の水 中川 雅司
日記
ぶらんこと一つとなりて空近し 上脇 立哉
本当の幸せがここにある。(桂一)
ぶらんこの動きに、春のよろこびを感じます。(ユリ子)
春しぐれ郡上唐傘連判状 おしおいけ
郡上一揆のとき作られた傘連判状は円のまわりに放射状に署名したもので傘を開いたように見える。春しぐれが呼応している。(ゆかり)
母校ワンダーフォーゲル部の山小屋が郡上市白鳥町石徹白に現存し、現役時代は年に何回も通った地区です。ありがたくいただきました。(誠治)
季語と名詞のみの一句に、命を賭した連判状の知恵と決意、美意識と峻烈でない結末を表現されたのかと共感しました。(博子)
砲火砲音ヒジャブ引き寄せ春悼む 牧野 桂一
真弓
大学の書庫は燕の巣の匂ひ 早川 恵美子
匠子、はま子
湯の街の小路抜け道はらみ猫 熊谷 幸子
三枝子
玄関の花びら二枚夜の客 石川 由紀子
花びら二枚の謎に連想をかきたてます。(郁文)
夜、知人が訪ねてきた。玄関には花びらが二枚。夜桜見物の帰りなのだろう。春の気分に溢れた句。(博行)
花びらを客として迎える心。(肇)
澄江
さがみ野の町を平らに梨の花 斎川 玲奈
中七の「町を平らに」が、白い梨の花が広々と咲いている光景を彷彿とさせます。(哲雄)
中七の表現に雄大な景が見えてきました。 (温子)
さがみ野は梨畑があるのでしょうか。梨だなは、平に白い花が、目立ちます。(百り子)
勢津子、匠子
旅先の一期一会や木の芽和 中川 手鞠
朋子、正明
初桜湖へ吸わるる人のこゑ 河野 伊葉
「中七」より「下五」の修辞の佳さ。(孝雄)
湖北の「海津の桜」を思い浮かべました。確かに花見客の声も広い湖に消えていくかのようです。(哲雄)
花嫁の衣装ととのふまで花見 明隅 礼子
花嫁の桜に負けない美しさを期待しながらしばし桜に。親の気持ちがわかります。 (郁文)
史子、手鞠、立哉、那智子、百り子、純夫、香誉子
たんぽぽの絮小人の国のドローンかな 中村 光男
メルヘンチックで愉しい句になりました。 (幸子)
卒業式以下同文の証書かな 熊谷 幸子
立哉、香誉子
永き日や吾も浮浪者かもしれぬ 永井 玲子
何をするでもなく過ごしているそんな気持ちが感じられます。(博美)
水音の豊葦原や初燕 佐藤 博子
真弓、澄江
「頑張れ」に応ふランナー風光る 原 道代
夏江
ふらここを揺らして母の帰り待つ 相沢 恵美子
情景が浮かぶ心安らぐ句。(孝雄)
道代
新幹線遥かに駆ける野焼かな 鳩 泰一
博嗣
玉眼のかうかうとして春の闇 冨士原 博美
志昴女
ジョギングの足下に舞ふ花の屑 金子 肇
尚
幼な子の箸持つ皿へ花吹雪 鳩 泰一
箸を持ち始めた子どもさんに、花吹雪もお祝いしてくれているようにも思えます。ご家族の笑顔も見えるようです。(敏)
孝子、道代、はま子
北窓を開き日の香を風の香を 岡部 博行
日の香 風の香をたっぷりと吸って生き返った気分が。(佳久子)
春の香がいっぱいですね(智子)
由紀子
紫雲英田はパズルのピースあすか野に 今井 温子
由紀子
テレビ局はガラス張りなり万愚節 芥 ゆかり
ガラス張りの社屋、相反し都合の悪いことは闇に封じてきた経営、そんなテレビ局の体質を風刺し万愚節という季語に託して(律子)
松高し野に入る蝶の片ほとり 町田 博嗣
雅司
古草を残して友は逝きにけり 妹尾 茂喜
伊葉、はま子
流されて遊ぶ七羽の子鴨かな 髙橋 紀美子
前に進もうと頑張っても後ろに流されていく七羽の子鴨たち。その様子を遊んでいると詠んだのが楽しい。(ゆかり)
愛くるしい子鴨たち。群れながら、流されながら……(律子)
手鞠、礼子
花ぐもり説教台の砂時計 石川 由紀子
退屈?な説教が長くなりすぎぬよう、砂時計が置かれている所にユーモアを感じます。季題もぴったり。(春野)
史子、博嗣、玲子、那智子
カタルーニャ音楽堂の春のチェロ 松山 芳彦
スペインのカタリューニャ地方のフランス文化の匂いと眩しい都市文化の息吹を春のチェロにて受容いたしました余慶
花供養一人が好きな友誘ふ 日根 美惠
春、一人が好きな友への気遣いの暖かさ(敏晴)
共に鞍馬寺へ、お互いに気心知れた友に恵まれましたね(憲史)
おしおいけ、香誉子
ほほじろや尼僧ふたりの急ぎ足 榑林 匠子
お勤めの時間にでも遅れそうなのかしら?ほほじろが苦笑い?(憲史)
雅司
待ち侘びて夕風に散る紫木蓮 金山 哲雄
紫木蓮の写生句 とても良く描かれています (幸子)
散り際を鮮明にする工夫がありました。(順一)
由紀子
花馬酔木仏と暮らす朝餉かな 合田 憲史
花馬酔木が仏と暮らしているのを見ながら、朝餉を取っている。何か仏門に入った心境か。(芳彦)
国境の海も野原も霞かな 野口 日記
人は争って国を造り境界を決めるが、万葉の時代から、霞は空中をただよい海も野も包み込む。(茂喜)
紀美子
露座仏の耳朶に花びら春二番 佐藤 博子
史子、雅司
愛されず風に揺れをり杉の花 阿部 朋子
花粉症のせいで杉の花は愛されないのです。寂しさが伝わってきます。(光男)
フルート吹く仏像に羽春来る 須田 真弓
正明
礼拝に招くオルガン雪やなぎ 野口 日記
とても美し音色のオルガンのようですね。雪柳が入口の前に日を受けて揺れているような。(正規)
雪をかぶったように美しい白。”礼拝”に合いますね(憲史)
春荒をおして集へる卒寿かな 土屋 香誉子
春嵐・春疾風では生っぽい、春の荒れをおして集う、卒寿という経験値を積んだ齢の語感を表している句といただきました 余慶
城跡の動物園の春の泥 土屋 尚
匠子
高千穂の秘色の空や匂鳥 早川 恵美子
秘色の空とは、淡い浅黄色、中国唐代の天子への供進に限られ庶民の使用が許されなかった空の色。色と匂いと高千穂への尊崇を込めた中七、匂鳥の佳句 余慶
楓、純夫
差し色の朱(あけ)大胆に春ショール 岡崎 志昴女
淡い色でなく朱い色の効いたショールを選ぶのも又春の気分。ふみ
楓
ベジャールのバレエの乱舞春らんまん 森山 ユリ子
初めてベジャールのバレエを観た時は、ドキドキするほど衝撃的。季語がピタリとはまります。(博子)
囀や雨の止むのを待ちきれず 山本 純夫
ウキウキして待ちきれない春の気分が良く出ている。(桂一)
雨から晴天に変わる瞬時を素早く捉えて生き生きとした鳥たちのこえが聞こえてきそうです。(伊葉)
風光るミモザのリースドア飾る 合田 智子
ミモザのリースと風光るいいですね(みつ子)
ミモザのリースは美しく春を呼ぶ。(ユリ子)
ふる里の路に似てゐて桃の花 上脇 立哉
心優しい句で、春を実感するのは愛らしく、華やかな桃の花です。真弓
春の空翼を無くした記憶なし 石川 順一
鳥類は恐竜の子孫であると分かってきていますが、人も鳥類と同じ単細胞生物のDNAを持っています。とは言え、記憶にはないですよねぇ。(誠治)
花ふぶき「儚くなる」といふ言葉 芥 ゆかり
花吹雪の中にいると感傷的なります。人偏に夢ははかないと読みます。しかし桜花が散り頻った後によく見るともう愛しいほどの実をつけていますよ。玲子
菜の花のみどりを愛でる昼パスタ 阿部 朋子
菜の花のみどりに映えるパスタは美味しそう。(光男)
美味しそうです 今日のお昼は私も菜の花パスタにしましょうか。(温子)
孝子
志持ち閉校の子の進級す 合田 憲史
志昴女
ふらここや富士も箱根も足の裏 中村 光男
景の広さに驚き(郁文)
高く飛んでいる情景が見えます。(博美)
ぶらんこを力強く漕ぐ様子がいかにも春らしい。中七下五の措辞が景を大きく動的にしている。(博行)
何とも壮大な景です。(泰一)
ブランコを大きく漕いで、箱根も富士山も足の裏で蹴飛ばしている大きな景ですね(智子)
那智子、立哉、三枝子、夏江
堅香子の咲き城址へ誘ふかな 荒川 勢津子
朋子
卓袱台にひしゃげた薬缶イースター 中川 手鞠
楓
槌音や土筆の残る造成地 郁文
槌音のする造成地にも土筆が生えている、やがて、造成されてなくなるのであるが、生命力の強さを感ずる。(芳彦)
父をかの世に送り、残った土地が造成されている。建て替え工事を傍らのわたしと土筆が見上げている。(茂喜)
春潮のうねり高まるに仁右衛門島 鈴木 楓
玲子
薔薇手入れ母の余生を懐かしむ 長岡 ふみ
紀美子
水温むイソヒヨドリの来る餌場 土屋 尚
百り子
猿沢の宿は昭和の花見かな 鹿志村 余慶
奈良のお宿は元林院町ですか 猿沢池の周りは昭和の色香が残っていて優雅なお花見 羨ましいです(美惠)
正明
生業の日々や蚕棚の煤光る 斎川 玲奈
朋子
柿若葉薄黄緑に羽ばたけり 嶋田 夏江
薄黄緑と若葉が輝いてますね(みつ子)
目鼻無き手作り雛に笑みの有り 井上 澄江
目鼻なくてもどことなく愛らしいお雛様、手作りならではの物なのでしょう。ふみ
手作りの雛人形は、作った方と見る方の表情が重なるのかもしれませんね?とても温もりを感じます。(敏)
手作りには作り手の人柄が見えてくる(敏晴)
温かみのあるお雛様 下五がいいですね。 (幸子)
目鼻の無い方が、却って観る人にそれぞれの表情を想像させます。(哲雄)
勢津子、道代
紫雲英田の風のやはきや影ふたつ 宮川 陽子
影ふたつとは?と想像をふくらまさせてくれます。風のやはきがいいですね(律子)
春の風ひなたの匂ひする仔犬 森野 美穂
ひなたの匂いがするという措辞がいいですね。(光男)
春風の中仔犬を抱き上げる。可愛さのあまり鼻をつけ嗅ぐと日向の匂いが。春らしい微笑ましい景。(博行)
やんちゃなかわいい仔犬は外遊びが大好きなのでしょう。(春野)
年甲斐もどこ吹く風の春日傘 金山 哲雄
若さの秘訣でしょう。(泰一)
久丹子、純夫
大和路の渡来の瑠璃や百千鳥 中島 敏晴
美しく春らしいです。(博美)
礼子
カザルスの春の協奏鳥の歌 松山 芳彦
確かに鳥の歌はチェロの物悲しい演奏が春の宵にこそしっくりしますね。ふみ
カザルスの「鳥の歌」はすばらしい。春にぴったりですね。(佳久子)
春疾風プラスチックの赤き椅子 中島 敏晴
久丹子
花冷の上野となればたる松へ 伊藤 正規
ずっと以前、樽酒の並ぶこの店に何回か行ったことがある。花冷には熱燗。(肇)
おしおいけ
千の風になりしや揺れる山桜 荒川 勢津子
山桜のやがて散って、千の風なるであろうが、けなげにも、揺れて咲き誇っている。(芳彦)
澄江
旅立ちに始まる日記風信子 佐藤 律子
「始まる」なので過去の日記でしょうか?どんな旅立ちだったかはわかりませんが、風信子がとても合う気がします。(敏)
ヒヤシンスの香りが広がりました。(誠治)
旅立ちにヒヤシンス。日記が意外なアイテムでした。(順一)
手鞠、礼子
小さき顔の小さき地蔵や花の雨 明隅 礼子
久丹子
以上
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