天為ネット句会報2026年8月

 

天為インターネット句会2026年8月分選句結果

 ※特選句、入選句内の順番は互選点、句稿番号の順。
  また互選句は句稿番号順に並べております。

  <福永法弘同人会会長選 特選句>

待ち惚けの中二階席ソーダ水                 長岡 ふみ

中二階席がなんとも絶妙。(法弘)

2階席と言ったところが「待ち人はすぐには来ない」という事を感じさせ、人を待つ作者の心情とは裏腹にソーダ水の鮮やかで人工的は色合いが印象的。(真弓)

史子、博嗣 、香誉子

廃市手に国鉄降りし夏休み                  青猫

福永武彦『廃市』はかつての愛読書。国鉄が懐かしい。柳川駅か。(法弘)

  <福永法弘同人会会長選 入選句>

風と来て風と別るる赤蜻蛉                  日根 美惠

目的地まで風に便乗。(法弘)

上五中七に惹かれました、情景が見えるようです。(博美)

高原の夏の終わりの風景! (ユリ子)

風に乗って来た赤蜻蛉の群れが風に煽られ散らばって行く。もうすっかり秋の風だ。(博行)

赤蜻蛉は風の使者なのかもしれません。(順一)

雅司、三・恭子、早・恵美子

ファッション誌日除け代わりの昼下がり            永井 玲子

都会的でおしゃれ。(法弘)

おしゃれなファッション誌を日除けにすると詠んだところが生き生きとしている。(真弓)

日除け代わりに使うとは意外でした。(順一)

純夫、道代

給水を知らせるラジオ朝曇                  山本 純夫

水不足対策。でも、朝曇りの季語に午後からの雨を予感。(法弘)

被災地の方々はどんなにお辛いことでしょう(美穂 )

玲奈、那智子

空堀の深き斜面なぞへや羽抜鳥                   佐藤 博子

足軽化して羽抜鳥となる。(法弘)

寿恵、博嗣、日記

名山の名水名物ところてん                  石川由紀子

名、名、名と機知の句。(法弘)

響きが良いです  (幸子)

名の韻を踏みつつ大変美味しそうな心太が。リズムが抜群。(郁文)

名水のところてん、美味だったでしょう。山の涼風が感じられます。(ユリ子)

先頭はいつもあの人踊の輪                  須田 真弓

自他ともに認める踊り上手。(法弘)

積極的というか目立ちがりやというか何処にもこの手のタイブ)の人がいる。(郁文)

『いつもあの人』は憧れのお気持ちなのか、面白くないお気持ちなのか、作者のお気持ちを測りかねました 笑 (律子)

夜のプール飛び出すものを見たといふ             上脇 立哉

学校の怪談。(法弘)

志昴女

夜光虫愛でしひとりに黒蜥蜴                 内村 恭子

悼。美輪明宏さん。

夕涼や散髪帰りのコロッケ屋                 野口 日記

涼しくなってからの予定通りの行動。(法弘)

街中はクーラーのみの静寂かな                松山 芳彦

みな室内に引きこもり。(法弘)

交換日記のインクの掠れソーダ水               合田 憲史

そろそろ終わる前兆?(法弘)

  <互 選 句>

乳母車見送りて又水を打つ                  長岡 ふみ

優しさと思いやり(敏晴)

とても日常的な場面の切り取り。今日も暑いから気をつけて、などと声かけ合っているのだろう。(ゆかり)

場景が浮かびます(勢津子)

作者の優しい眼差しを感じます(美穂)

哲雄、尚

カリヨンの鐘ある艇庫夏の湖                 荒木 那智子

玉川ダム 放流が涼しい。懐かしい場所。(正規)

スペインの風をつれきし扇かな                熊谷 佳久子

スペインの風をすれて来た扇、面白い発想です。(芳彦)

踊りの場面が目に浮かびます(早・恵美子)

玲子、はま子

友若し岐阜提灯の点りゐて                  染葉 三枝子

純夫、勢津子

登山小屋守る尻尾を振らぬ犬                 児島 春野

落ち着いた性格の犬、。毎年この犬に会うために登山するひともいるかも。(伊葉)

日記

たちまちに昭和に戻るまくわ瓜                嶋田 夏江

昭和とまくわうりが絶妙   (温子)

未だに韓国ではマクワウリが人気、そう言えば日本では殆ど見なくなりました。昭和の味。ふみ

幼い頃祖母が夏休みのおやつによく切ってくれた。最近叔母のお宅で復刻版?として食べたところ。懐かしい!(憲史)

那智子、尚

忍者のごと城下の古地図紙魚走る               今井 温子

面白い発想です。(芳彦)

古地図の城と紙魚跡の見立てに、忍者走りを想像して戦国時代にワープ。物語性に惹かれます。(博子)

青猫

いきいきと廻りそこねて灸花                 阿部 朋子

灸花はどこへでもしぶとく行くのが廻り損ねてというのがおもしろい(みつ子)

神々の黄昏終る街白夜                    早川 恵美子

陽子

便追をまた見失ふ霧多布                   小池 澄子

霧多布という地名が多くを語っている。夏霧の多い場所に住んでいますので、情景がはっきりと浮かびます。(三・恭子)

おしおいけ

鏡池に映ゆ山山や滴れり                   宮川 陽子

「滴れり」で鏡池に映った山山が更に映えている景が見えてきます。(相・恵美子)

星涼し寂と気ままの一人旅                  冨士原 博美

道代

青罫のひとふみ箋や涼新た                  三浦 恭子

身の回りの小さな事物にふと秋の訪れを感じ取るところに詩が生まれる。俳人ならではの感性に敬服。(博行)

由紀子

風鈴の音を残して風渡る                   岡部 博行

風を追うように複数の風鈴が鳴り響く、涼しい音がする。ふみ 読み終えたあとに風鈴の音が爽やかに残ります 澄子

「音を残して」の表現が好きです。(ユリ子)

手鞠、雅司

何気ないはずみに蜘蛛を死なしめし              おしおいけ

ああいてるなという気持ちでいるのに 蚊と間違えてたたいてしまったり 窓の敷居にいるのを見落として轢いてしまったり 心無いことをして仕舞うことが昨夜もありました (美惠)

抗えない性業サガゴウの悲しみ(敏晴)

志昴女

猛暑籠城クワトロチェントの画集開く             小高 久丹子

内・恭子

日覆の屋号の太し佃煮屋                   中村 光男

東京の下町、佃煮ファンのこころをどんとうけとめる屋号の太字。(伊葉)

庶民的な佃煮屋さんには太く書かれた文字が似合いますね。(春野)

中七で老舗の感じが良く出ている句。(佳久子)

太い屋号の色は佃煮のような深い色だったのでしょうね。(三・恭子)

由紀子、おしおいけ、立哉、玲奈、三枝子、百り子、手鞠

青海波揺れる老舗の夏暖簾                  中川 手鞠

夏らしくていいですね(夏江)

寿恵

継信の碑や南天の花こぼる                  井上 澄江

手鞠

ロミオ呼ぶ夜の露台のジュリエット              金子 肇

おヘソを出した黒ギャル姫でしょうね、たぶん(笑)誠治

オペラ歌手の声の残響五月闇                 原 道代

悲劇の演目をあれこれ想像。五月闇は客席の比喩?野外劇場の実景か?作者の感受性に共鳴しました。(博子)

議事堂の若き衛視や青銀杏                  岡田 寿恵

博嗣、日記、哲雄、はま子

息詰めて光を余す蛍狩                    牧野 桂一

目も慣れてきた闇に、増えていく蛍火。遙か昔、合歓の郷への道すがらで見た螢合戦は、まさに「息詰めて」でした。(博子)

泳ぎ子といふは遠くにゐたるもの               明隅 礼子

親と離れ、小さくなっていく泳ぎ子の逞しさを誇らしく思いつつ、無事を祈る不安な気持ちがうまく表現されています。(紀美子)

伊葉

夏の夜の差出人のなき封書                  中川 手鞠

ちゃぶ台の前で思案投げ首している様子が、、、笑。誠治

これは怖い。故意か不注意か。(泰一)

怖いですね。吾郎ちゃんの番組が始まるみたいな。(正規)

真弓

晴れの日は行方知らずの蝸牛                 相沢 恵美子

そう言われてみれば、何処にいるんだろう。(泰一)

ほんとうにどこに居るのでしょう、蝸牛。こんなに暑い晴れの日が続くと心配になります(律子)

内・恭子、香誉子

炎天を来てバス停の五人かな                 榑林 匠子

見知らぬ同士の無言のシンパシー 炎天ならでは(久丹子)

飛び石を渡る川風夏帽子                   竹田 正明

涼しそうです(みつ子)

人の動きが見える句。(孝雄)

修験道山椒魚に道ゆずる                   今井 温子

山椒魚に道を譲るとは稀有な経験をされましたね。(相・恵美子)

帰省する故郷はなし赤提灯                  鳩 泰一

朋子

背面なき円空仏や堂涼し                   髙橋 紀美子

平に削ぎ落された背面の円空仏の涼やかさにお堂の空気までも・・・(美惠)

円空仏は背中があっさりしているのが多いと初めて知った、「堂涼し」が良いです。(博美)

荒削りの円空仏の清々しさに、お堂が一層涼しく感じられます。(春野)

馬の尾のだらり牧場の大暑かな                合田 憲史

中七で相当な暑さが想像されます。(相・恵美子)

ナウマン象の糞の化石や大夕焼                宮川 陽子

百り子

胡瓜花くの字離れず萎えてゆく                河野 伊葉

史子、青猫

生と死も入口出口水中花                   熊谷 幸子

その通りと思う。挙句に水中花を持ってきたこと大成功(芳彦)

夏江

爪先立ちの白足袋つらね阿波踊                髙橋 紀美子

阿波踊りの低い腰と爪先立ちの草履手の振りが一体となって見事ですね       (幸子)

阿波おどりの鐘の音が聞こえています 身体がムズムズしてきました  (温子)

生国を知らぬ夜店の金魚かな                 上脇 立哉

夜店の金魚にも生い立ちが(敏晴)

史子、匠子

夏逝けり東京音頭の哀調に                  芥 ゆかり

東京音頭は、大震災の街で人びとを復興に鼓舞した市民の心の歌だ。(茂喜)

朋子

富士山に触れて雪崩るる天の川                相沢 恵美子

見てみたい雄大な光景。(肇)

由紀子

蝉時雨笑みのしづけき観世音                 岡部 博行

年齢のせいか御仏を詠まれたお句に惹かれます  (温子)

蝉時雨と観世音の対比がよかった。(佳久子)

立哉、那智子

忘ること忘れざること茗荷汁                 鈴木 楓

茗荷を食べると忘れっぽくなるという俗説を踏まえ面白い句に仕立てられたと思います(律子)

玲子、紀美子

夏休ウルトラマンのポーズの子                岡田 寿恵

我が家の長男次男も得意気にポーズをしていました(智子)

草取のプロフェッショナルの去りし庭             土屋 尚

草取のプロ集団が鮮やかに仕事をして去っていった。その庭を見てみたい。(ゆかり)

約束のひとつ消えたり蓮咲けり                明隅 礼子

青猫

思ひ出は今日生きる糧遠花火                 荒川 勢津子

確かに思い出は生きる糧ですね(みつ子)

良き思い出は特に高齢者には生きる力です。(肇)

陽子

苔の花纏ひて笑ひ羅漢かな                  熊谷 佳久子

喜多院の五百羅漢をお参りした日が思い出されます(勢津子)

三枝子、哲雄

色競ふナス科のピーマントマト茄子              金子 肇

夏野菜カレーの定番。「色競ふ」の表現が生き生きしている(憲史)

水玉をのせ蓮の葉の掌                    小栗 百り子

下五「掌」の佳さ。(孝雄)

茗荷の子雨降り一挙に取り切れず               松山 芳彦

道代

ひとつまた齢を重ね梅漬ける                 金山 哲雄

私も同感です(夏江)

後期高齢者の実感です。(博美)

手造りの梅干は家庭の味です。おばあちゃんの出番です(智子)

梅雨明けや筑波嶺の藍横たへり                中川 雅司

「筑波嶺の藍」が素敵です 澄子

百り子

石段の段差不ぞろひ木下闇                  佐藤 律子

段差の不揃いな石段の危うさを木下闇が強調して纏まりの良い佳句と考えます 澄子

おしおいけ

短夜の腕枕抜くタイミング                  芥 ゆかり

子供の幼い頃、よく添い寝して寝かせていた。寝入った頃合いを見ての動作が懐かしく思い出される(憲史)

蚊と将棋ピシャリと連打床机台                郁文

蚊を打ったあと駒音高く「王手!」。縁台将棋、懐かしい。(肇)

長茄子の恐竜めくや門火焚く                 山本 純夫

祖先の霊を迎えるための茄子の馬が恐竜のように立派とは愉快な表現。(佳久子)

三枝子

抜きん出てアガパンサスや男役                早川 恵美子

アガパンサスのすっくとした立ち姿 紫色も男装の麗人に似つかわしい(久丹子)

寿恵

空白に長距離シュート打ち涼し                内村 恭子

上五の空白にが爽やかな風を感じさせます(紀美子)

にんじんを食べたとLINEキャンプの子           おしおいけ

キャンプに初参加の児から、焼いた人参を食べ切ったとラインが入った。うれしい限りだ。(茂喜)

良かったですね得意そうな様子がうかがえます。  (幸子)

人参嫌いな子供は多い。キャンプ仲間と競い、頑張った事を一刻も早く知らせたかったのかな(智子)

香誉子

野良猫の警戒ゆるむ緑雨かな                 木村 史子

意外と雨を楽しんで居たのかもしれません。(順一)

鯖雲の小さき空や切通し                   鈴木 楓

切通を歩く「景」が浮かぶ。(孝雄)

内・恭子

盆休み何かにつけて猫を撫で                 西脇 はま子

帰省でしょうか この際とばかり 猫ともどもリラックスタイム(久丹子)

匠子

あをあをと博多老舗の大葉餅                 佐藤 博子

朋子、志昴女

好き嫌ひ子に叱られて夏料理                 金山 哲雄

好き嫌いの躾は親会社子に教えるところこの句は逆さにとっているところが面白い。老いと共に特に夏場は好き嫌いが多くなる。(郁文)

国中の土を沃して蚯蚓かな                  土屋 尚

スケールがでっかい!頑張れ蚯蚓君!!(早・恵美子)

ねぶた來る大きく高く恐ろしく                中村 光男

夏の果まだまだ続くヘイジュード               中島 敏晴

延々とコーダを繰り返すヘイ・ジュードのエンディングに、夏が終わらずに続くことを願う気持ちが重なる。(博行)

空蝉の中に残れる子守唄                   森野 美穂

夕方からの3~4時間の羽化の間、子守唄を聴き続けているのでしょうか 子守唄が空蝉にまだ残っていると感じられた作者の感度に感銘しました。(美惠)

作者のやさしさと、このような見方に今まで気づかなかった自分の迂闊さを感じました。(春野)

はま子

星涼し和尚の歌ふアヴェマリア                永井 玲子

いぶし銀なるマリア様。音楽に境界はないのですね。誠治

夏の夜の集い、余興は和尚様のアベマリア、素晴らしいお声でしばし暑さを忘れそう。ふみ

声明を唱える和尚さんだから、さぞその歌声は涼やかなことでしょう。(正規)

純夫、匠子

源平に二つの正義黒揚羽                   井上 澄江

平家の多くは壇ノ浦に沈み、源氏の世が訪れた。ここぞと舞うは揚羽の蝶だ。(茂喜)

勝者にも敗者にもそれぞれの正義がある。黒揚羽はさながら審判。(ゆかり)

いつの世にも「正義」の対立がありますね。(泰一)

どちらも己の正義を信じて戦いました(美穂)

雅司、陽子、玲奈、玲子

乾坤に竹の皮脱ぐ音静か                   日根 美惠

立哉

以上

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